2016 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸塩天然コンクリーション形成に学ぶ透水性空隙・亀裂シーリングへの応用研究
Project/Area Number |
15H04224
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 英一 名古屋大学, 博物館, 教授 (30324403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 信一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20332702)
丸山 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40363030)
南 雅代 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90324392)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 炭酸塩球状コンクリーション / 堆積岩 / 応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然の炭酸塩球状コンクリーションは,岩石中の亀裂や空隙に炭酸カルシウム(CaCO3)が濃集・沈殿し,完全にシーリングすることによって,数万年~数十万年以上の長期にわたって地下環境中で安定に保存されているものである.これは,地下岩盤中の透水性空隙・亀裂をどのように長期にかつ安定にシーリングすることができるのかの‘天然の類似現象(ナチュラルアナログ)’である.そのシーリングメカニズムには未だ不明な部分もあるが,これまでの研究から,基本的なシーリングプロセスが明らかとなってきた.とくに炭酸カルシウムが数十%以上濃集している炭酸塩球状コンクリーションは,地下岩盤中のとくに堆積岩中に普遍的に,かつ安定に存在することが確認されている.その大きさは,メートルを超えるものも存在し,数万年~数十万年以上にわたる風化や変質に耐え,その形態を保つ.その理由は,コンクリーション中の空隙や亀裂が炭酸カルシウムによって充填,シーリングされることで,外部からの地下水の浸透が遮断され,地下水との反応が抑制されるためである.昨年度は,それまでの形成メカニズム,保存システムの知見を発展させ,グラウチング等の工学技術に応用し地下岩盤中の透水性空隙・亀裂の長期シーリング技術の構築を目的として.炭酸塩球状コンクリーションの国内数カ所での地質調査、採取等の野外調査を行うとともに、鉱物学的および地球化学的分析調査を行った。また、炭酸塩球状コンクリーションの形成再現実験を行うための試験装置等の準備を行った。さらには、年度末に、研究成果の紹介を大学博物館にて特別展として開催するための準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた炭酸塩球状コンクリーション形成に関する野外調査が順調で、当初予定していたよりも早めにデータの集積が順調に進んでおり、次のステップである再現実験への段階に移行可能となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度が最終年度となるが、炭酸塩コンクリーションの再現実験を当初の予定よりも早めに開始し、形成過程、詳細は反応プロセスなどを明確にする予定である。また、引き続き必要な野外調査は実施することとし、またこれまでの研究成果の公表も、大学博物館の特別展などを通して行う予定である。
|
Research Products
(2 results)