2016 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカル・放射能イメージングによるセシウムの収脱着ダイナミクス解明
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15H04246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 拓巳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90436543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90361576)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 雲母系鉱物 / 収着 / 脱離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,雲母系鉱物に対する放射性セシウムの収着脱離のダイナミクスを,透過性に優れ,in-situ測定に適した近赤外分光を用いたケミカルイメージングとオートラジオグラフィによる放射線イメージングを用いて明らかにすることを目的としている.層間の水和状態のと放射能分布の経時変化を組み合わせ,バッチでの長期収着・脱離実験の結果を援用することで,新たな速度論的収着・脱離モデルの構築を目指す.平成28年度は,以下の研究を実施した.
【長期の収着・脱離実験に基づく速度論的モデルの構築】 平成27年度に実施した収着脱離実験の結果に対して,速度論的モデルを考案し,フィッティングを実施した.その結果,雲母系鉱物の種類や共存イオンの種類・濃度に応じて,収着時のCsの分布が異なり,それが,脱離挙動の違いに現れることが明らかになった.さらに,より長期の収着時間,および,層間端部の閉塞を促すK+と水和(風化)を促すCa2+が共存する条件で調整した試料を用いた,長期脱離実験を行った. 【近赤外顕微分光測定による雲母系鉱物層間の水和状態のイメージング】異なる接触時間や共存イオン濃度でCsを収着させた雲母薄片試料の赤外吸収イメージング測定を実施した.特に,近赤外域に加え,中赤外域においても,有用な分布情報が得られることが分かった. 【オートラジオグラフィ測定】上述した収着・脱離実験の結果や赤外顕微分光測定の結果を参考に,実験条件を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に取得した収着・脱離実験の結果に対して,速度論的モデルを適用した.さらに,異なる収着時間で調整した試料を用いた脱離実験を行い,脱離実験結果の拡充を図った.また,顕微分光イメージングによる測定では,近赤外域と中赤外域の測定を組み合わせることで,雲母系鉱物の層間水の状態変化を検出することに成功し,異なる接触時間,共存イオン濃度におけるCs収着に伴う,水和水の状態変化をイメージング測定した.したがって,本研究の目的である新たな速度論的収着・脱離モデルの構築に資する進捗があったものと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
【長期の収着・脱離実験に基づく速度論的モデルの構築】 イメージング測定の結果に基づき,収着・脱離モデルの高度化を図る. 【赤外顕微分光測定による雲母系鉱物層間の水和状態のイメージング】 異なる温度条件や共存イオンの種類を変えた収着・脱離試料を準備し,層間水の状態変化のイメージング測定を継続する.長期の収着脱離実験の結果と組み合わせ,雲母系鉱物層間中におけるCsの水和状態の変化や層間での拡散による移行プロセスを長期の収着・脱離挙動に関係づけていく. 【オートラジオグラフィ測定】 赤外顕微分光測定と同様にの雲母系鉱物薄片試料に,Cs-137を収着させた試料,および,そこからCs-137を脱離させた試料のオートラジオグラフィ測定を行い,Cs-137分布変化を評価する.そして,上記の【赤外顕微分光測定】を補完する結果を得る.
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Research Products
(2 results)