2015 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーを使った新奇元素分離技術の開発および高レベル放射性廃液からの元素回収試験
Project/Area Number |
15H04248
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐伯 盛久 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (30370399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 志保 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (10370339)
松村 大樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (30425566)
田口 富嗣 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (50354832)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 原子力エネルギー / 反応・分離工学 / 廃棄物再資源化 / レーザープロセシング / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、白金族イオンを含む複数元素イオン混合溶液に紫外レーザーを照射すると、白金族イオンだけが選択的に光還元されてサブミクロンサイズの微粒子を形成し、他の元素イオンと分離・回収できることを見いだした(レーザー微粒子化分離)。そこで本研究課題では、高レベル放射性廃液から、2次放射性廃棄物の発生量を抑制しつつレーザー微粒子化分離法により白金族元素だけを選択的に分離・回収する方法を開発する。 本課題は、①時間分解X線吸収分光によるレーザー微粒子化反応観測法の確立、②高効率にパラジウムを回収できるレーザー照射技術の開発、③レーザー微粒子化元素分離による高レベル放射性廃液からのパラジウム回収試験、の3つのプロジェクトから構成されている。それぞれの平成27年度実績について以下に説明する。 ①:これはパラジウム回収率向上のためのレーザー照射条件を調整するために必要な技術であり、今年度はSPring-8放射光施設においてランプ誘起パラジウム微粒子化実験を進め、時間分解X線吸収分光による微粒子化反応観測法を確立した。 ②:ここではレーザー照射条件(平均出力、パルスエネルギー、パルス間隔)を調整することにより、パラジウム回収率を向上させるための技術を開発する。今年度はそのために必要なパルスエネルギー・パルス間隔可変レーザーシステムを構築し、その動作試験を行った。 ③:多量の放射性物質を含んだ高レベル放射性廃液による分離試験では、安全性に配慮した実験設備の整備が前提になる。そこで、作業者の被ばくや作業環境の汚染を実質ゼロにするため、高レベル放射性廃液を1/100程度に希釈した系で分離試験を行う予定でいる。今年度は、高レベル放射性廃液の模擬溶液で分離試験を行い、1/100程度に希釈した系からでもレーザー微粒子化分離によりパラジウムを選択的に回収できることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は交付申請書に記述した実施計画をすべて達成することができたので、上記の区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に記述した①ー③のプロジェクト毎に説明する。 ①平成27年度に行ったランプ誘起パラジウム微粒子化の時間分解X線吸収分光実験の成果を論文発表する。また、光源をランプからレーザーに置き換え、レーザー誘起微粒子化反応の時間分解X線吸収分光測定を行えるようにする。 ②構築したパルスエネルギー・パルス間隔可変レーザーシステムを使って、照射レーザーのパルスエネルギー・パルス間隔と元素回収率および生成する金属微粒子のサイズとの関係を調べる。そして、高効率にパラジウムを回収できるレーザー条件のあたりをつけた後、レーザーをSPring-8に持ち込み、時間分解X線吸収分光測定による詳細な条件探索を行う。 ③元素分離試験に向け、その基礎データとなる高レベル放射性廃液の成分分析を行う。そして管理区域にレーザーを搬入し、コールド模擬溶液でパラジウムの分離・回収・分析手順を十分に練習した後、高レベル放射性廃液からのパラジウム分離回収試験を行う。なお申請段階では使用済核燃料溶解液からウランおよびプルトニウムを取り除いて高レベル放射性廃液を準備する予定でいたが、ウランおよびプルトニウムの除去作業が困難な場合には、使用済核燃料溶解液を用いて試験を進める。
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Research Products
(7 results)