2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular network and physiological function of glutamatergic tripartite synapse in the cerebellum
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15H04274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 専 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高雄 啓三 富山大学, 研究推進機構 研究推進総合支援センター, 教授 (80420397)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セプチン細胞骨格 / シナプス / グリア / グルタミン酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳皮質に高密度に存在する興奮性シナプスからグルタミン酸を除去するトランスポーターGLASTは、バーグマングリア細胞(大型化し、高度に分化した放射状アストログリア)の突起に大量に集積するが、集積の分子機構や生理的意義は不明であった。本研究では、セプチン、非筋型ミオシンⅡB/MYH10、CDC42EP4などを含む蛋白質複合体がシナプス周囲のグリア突起膜直下に集積していることを見出した。CDC42EP4欠損マウス小脳試料の生化学的、微細形態学的、電気生理学的、行動学的解析により、1)GLASTがセプチンから解離して2)シナプスから遠ざかり、3)グルタミン酸が残留して神経伝達が過剰となり、4)軽度の運動学習障害を呈し、5)正常個体には無効な低用量のトランスポーター阻害剤に過敏に反応して著しい運動障害を呈した。以上および先行研究から、上記複合体がGLASTをシナプス近傍に集積させる足場ないし拡散障壁としてグルタミン酸クリアランスの効率化に寄与していることがわかった。GLASTは一部の運動失調症、てんかん、統合失調症、緑内障の原因遺伝子であり、統合失調症脳ではCDC42EP4やセプチンの発現ないし含有量に量的異常がみられることから、上記および関連する遺伝子改変マウス系統の異常を病態モデルと想定して解析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重合性GTPaseセプチンは脳で高発現し、細胞骨格や足場としてシナプス前・後・周囲 (グリア)膜直下に集積し、多様なシナプス関連分子と相互作用する多機能蛋白質ファミリーであるが、シナプス伝達や精神・神経病態における役割には不明な点が多い。本研究では、ユニークな構造と細胞内局在を示すセプチン関連分子CDC42EP4を欠損するマウスが報告例のない神経機能障害を呈することを見出し、その責任領域であるシナプスを詳細に解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
統合失調症の一部で報告されているグルタミン酸トランスポーターの遺伝子変異や発現異常、死後脳でのCDC42EP4やセプチンの量的異常は、上記と類似したメカニズムで精神病態に関与する可能性がある。いずれも網膜の放射状グリアであるMuller細胞にも発現しており、CDC42EP4欠損マウス網膜の解析(共同研究による未発表データ)から、放射状グリアに共通する傍シナプス装置としてグルタミン酸代謝に寄与することが示唆されているため、今後も解析を続けていく。
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Research Products
(4 results)