2016 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム欠失の連続導入による遺伝子間ゲノム領域の機能解析
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15H04284
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國府 力 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70379238)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム編集 / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人工的トランスポゾンベクターを中心とする従来のゲノム工学技術とCRISPR/Casを用いた最新のゲノム編集技術を組み合わせて、比較的広いゲノム領域の機能解析を効率的に行うための新規のゲノム改変技術の開発を指向するものである。前年度までに、当初計画にはない新たな技術的改良点の着想が得られたため、我々は実験計画の一部を変更して新しい実験系の整備を進めてきた。平成28年度には、今回の改良型の技術手法においては、これまで主たる目標としてきた長距離ゲノム領域の欠失変異だけでなく、特定の染色体における部分逆位、あるいは異なる染色体間の転座など、実際のヒト疾患やがんゲノム等に起こり得る多様なゲノム再構成変異の導入を、制御可能な形で効率よく実現できる可能性があることを示唆する実験結果が得られた。そこで、我々は、培養マウスES細胞の系でトランスポゾンベクター等をさまざまなゲノム領域に分布させ、これらのベクター挿入部位を足場にした多様なゲノム再構成変異の導入実験を試みた。また、これらの検討の過程で、我々がこれまでに長距離シス調節のモデルゲノム領域として注目してきたマウス2番染色体Pax1遺伝子座周辺を巻き込むような大規模なゲノム再構成変異の導入を行い、脊椎動物の発生・進化の観点から重要な意義をもつと考えられる本領域のゲノム進化の再現を指向する実験を開始した。なお、これらのゲノム領域の選定や変異様式の設計に当たっては、近年爆発的に情報量が増えたゲノム・データベースおよびエピゲノム・データベース等を活用した。以上の実験結果から、制御可能な形での大規模ゲノム再構成変異の導入が一定の効率で可能であることが示されたが、領域によってはなおもゲノム改変効率が上がらない、あるいはその効果判定が困難な場合があることが判明したため、現在、その制約条件等の解明を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究開始以来、新たな技術的改良の着想に基づいて研究計画を一部変更したため、ベクターを導入した培養マウスES細胞ライブラリの整備等に予想以上の時間を要し、研究対象が拡大する展開は見せたものの、当初想定していた計画工程に現時点で追いつくには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた実験条件や対象ゲノム領域の特徴を詳細に比較検討し、本研究の目的にかなう有効な大規模ゲノム再構成変異導入システムを確立するとともに、モデルゲノム領域の機能解析を行う。最終年度にあたって、これまでの結果をまとめて学会・論文等での発表を行う。
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Research Products
(1 results)