2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子座特異的ChIP法によるゲノム領域間相互作用の同定とその意義の解明
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15H04329
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30302665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 敏次 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10550030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クロマチン / エピジェネティクス / ゲノム領域間相互作用 / ゲノム生化学 / 次世代シークエンス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には以下の研究を行った。 1. βグロビン遺伝子座5'HS5領域と相互作用するゲノム領域の同定とその意義の解析 3xFLAG-dCas9蛋白質とβグロビン遺伝子5'HS5領域近傍の配列を認識する2種類のsgRNAを発現するレトロウイルスベクターを構築し、これらを発現するヒト白血病細胞株K562細胞由来細胞を樹立した。この細胞を用いて、enChIP-Seq法により、5'HS5領域と相互作用しているゲノム領域を網羅的に同定した。K562は、ナトリウム酪酸塩 (NaB) 処理により分化が誘導され、グロビン遺伝子を発現する。分化に伴うゲノム領域相互作用の変化も解析した。その結果、5'HS5領域と恒常的あるいはNaBによる分化誘導に伴って相互作用する多数のゲノム領域を同定することに成功した。これらの相互作用ゲノム領域は、5'HS5領域と同一染色体上にあるもの (intra-chromosomal interactions) と異なる染色体上にあるもの (inter-chromosomal interactions) を含んでいた。Real-time RT-PCR法を用いて、5'HS5領域と相互作用しているゲノム領域近傍の遺伝子発現を解析したところ、NaBによる分化誘導に伴って発現が誘導されていることが分かった。このことから、NaBによる分化誘導に伴う5'HS5領域との相互作用が、遺伝子発現誘導に関与していることが示唆された。 2. インターフェロン誘導性遺伝子群の核内における動的制御機構の解析 PAタグを付与したS. thermophilus 由来のdCas9 (PA-dCas9 (ST)) と、3xFLAGタグを付与したS. pyogenes由来の dCas9 (3xFLAG-dCas9 (SP)) を用いたsequential enChIP法によって、恒常的あるいはIFNγ刺激に伴って、IRF-1遺伝子座と相互作用するゲノム領域を解析した。現在、データを精査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. βグロビン遺伝子座5'HS5領域と相互作用するゲノム領域の同定とその意義の解析 enChIP-Seqデータの取得及びそのバイオインフォーマティクス解析が終了し、独立した方法での確認も行った。更に、5'HS5領域と相互作用しているゲノム領域近傍の遺伝子発現が細胞分化に伴って誘導されることも示した。 2. インターフェロン誘導性遺伝子群の核内における動的制御機構の解析 Sequential enChIP解析の系を構築し、実際にデータを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. βグロビン遺伝子座5'HS5領域と相互作用するゲノム領域の同定とその意義の解析 ゲノム間相互作用の分子基盤を解明するため、enChIP法と質量分析解析やRNA sequencing解析を組み合わせたenChIP-MS法及びenChIP-RNA-Seq法を用いて、NaB処理していない細胞とした細胞で、5'HS5インスレーターに結合している蛋白質及びRNAを網羅的に同定する。さらに、shRNAを用いたノックダウン法やCRISPR系によるノックアウト法を用いたloss-of-function実験によって、同定した分子をノックダウンし、それによるゲノム間相互作用の影響を解析することで、ゲノム間相互作用を担う分子機構の解明を目指す。
2. インターフェロン誘導性遺伝子群の核内における動的制御機構の解析 PAタグを付与したS. thermophilus 由来のdCas9 (PA-dCas9 (ST)) と、3xFLAGタグを付与したS. pyogenes由来の dCas9 (3xFLAG-dCas9 (SP)) を用いたsequential enChIP法によって、恒常的あるいはIFNγ刺激に伴って、IRF-1遺伝子座と相互作用するゲノム領域を解析した。本年度は、このデータを用いて、恒常的あるいはIFNγ刺激に伴って、IRF-1遺伝子座と相互作用するゲノム領域を網羅的に同定する。バイオインフォーマティクス解析により、相互作用ゲノム領域の類別や結合領域の特徴を解析し、どのような機能領域との結合が存在するのかを明らかにする。
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Research Products
(14 results)