2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04397
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
小金澤 雅之 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10302085)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | ショウジョウバエ / 求愛行動 / 攻撃行動 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
A. 攻撃行動の司令ニューロンシステムの同定
キイロショウジョウバエ神経系の性差形成にはfruitless (fru)とdoublesex (dsx)の両遺伝子が中心的な役割を果たしている。前年度までに行った温度感受性陽イオンチャンネルdTrpA1の異所発現システムを用いた特定ニューロンの強制活性化実験により、dsx発現pC1ニューロン群が求愛と攻撃両行動の解発に関わっている事が明らかとした。pC1ニューロン群はfruとdsxの二重陽性とdsx単独陽性の2種のニューロン群に分けることができ、詳細な解析の結果、dsx+/fru+であるpC1ニューロン群は求愛の解発を司る一方、dsx+/fru- pC1ニューロン群は攻撃の解発に関わる事が明らかとなった。平成28年度はこれらのニューロン群特異的なGABA受容体Rdl遺伝子のノックダウン実験を行った。その結果、前者におけるノックダウンでは雄同士の求愛行動が誘起されたのに対して、後者では攻撃行動が誘起されることが分かった。これらの結果は、dsx+/fru+ pC1ニューロン群は求愛行動の、dsx+/fru- pC1ニューロン群は攻撃行動の司令ニューロン群であることをさらに支持する結果である。
B. 求愛と攻撃の相反的関係を実現する中核回路間の相互作用の同定
求愛と攻撃が相反して出現することは相互の抑制機構の存在を示唆する。前年度はfru発現ニューロンの内、GABA陽性の抑制性ニューロンであるLC1とmALに注目して解析を行い。両者が求愛と攻撃の切替に関わる事を見出した。上述のAで行ったdsx発現pC1ニューロンにおけるGABA受容体Rdl遺伝子ノックダウン実験は、これら求愛・攻撃を解発する司令ニューロン群が、前年度までに同定されたLC1ニューロンなどの抑制性ニューロン群の標的である事を強く示唆するものである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ニューロン活動の人為的操作技術やイメージング技術など最新の分子遺伝学的ツールを利用できるショウジョウバエを利用して、求愛と攻撃の解発とそのスイッチングを司る神経機構を明らかとすることを目的としている。「A. 攻撃行動の司令ニューロンシステムの同定」と「B. 求愛と攻撃の相反的関係を実現する中核回路間の相互作用の同定」の両研究項目ともに、ThermogeneticsやGABA受容体ノックダウンを用いた行動実験は想定以上の結果が得られた。研究計画全体を通しては、おおむね順調であると考えている。なお平成28年度までに得られた成果は2016年6月にCurrent Biology誌に掲載された。Koganezawa M., Kimura K., Yamamoto D. (2016) The neural circuitry that functions as a switch for courtship versus aggression in Drosophila males. Curr. Biol. 26: 1395-1403
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| Strategy for Future Research Activity |
「A. 攻撃行動の司令ニューロンシステムの同定」および「 B. 求愛と攻撃の相反的関係を実現する中核回路間の相互作用の同定」の２つのサブテーマに共通して、同定されたニューロン群の行動時の生理学的応答特性の解析が重要である事から、これらのニューロン群からのCa2+イメージングやパッチクランプ法等を用いた計測・解析システムを構築する事を中心に研究を進める。平成29年度は具体的に次のような課題に取り組む。
A. 攻撃行動の司令ニューロンシステムの同定
トラックボール上で自由行動する個体からの脳内Ca2+イメージング技術（Kohatsu and Koganezawa et al., 2011）用いて、求愛行動や攻撃行動の誘起に関わる刺激（体表フェロモンや雄の奏でる求愛歌など）対する脳内ニューロンの応答特性を解析する。平成29年度は、まず求愛と攻撃の司令ニューロン群を含む脳内dsx発現ニューロンに注目して実験を行う。さらにintersection法と呼ばれる細胞への異所発現限定技術を用いて、細胞内Ca2+プローブであるGCaMP6を発現するニューロン数を制限したイメージング解析を行う。
B. 求愛と攻撃の相反的関係を実現する中核回路間の相互作用の同定
求愛と攻撃の相反性を生み出すものとして見出したGABA作動性ニューロンであるLC1とmALに注目し、これらのニューロンの求愛解発刺激・攻撃解発刺激に対する応答特性を脳内Ca2+イメージング技術を用いて解析する。平成29年度は求愛・攻撃の両方を抑制しているmALニューロンに注目してイメージング実験を行う。
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Research Products
(9 results)
