2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04401
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒岩 麻里 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20372261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | W染色体 / 性決定機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類のW染色体上には、古くから卵巣決定遺伝子が存在することが予想されているが、未だ同定に至っていない。本研究の目的は、未だ明らかとなっていない鳥類の性決定(卵巣決定)遺伝子を、Z染色体とW染色体の差が小さいエミューを用いて同定することである。 本年度は、二つの研究計画を実施した。 1. 精巣分化マーカーであるDMRT1遺伝子の解析 平成27年度に実施した研究により、精巣分化マーカー遺伝子として知られるDMRT1、AMH、卵巣分化マーカー遺伝子として知られるCYP19A1(aromatase)、FOXL2の部分配列を決定し、RT-PCR法を用いて、エミュー胚の生殖腺における発現様式を確認した。本年度はさらにDMRT1の全長配列の決定を目的とし、full length mRNAsの配列を決定するための3'-RACEおよび5'-RACeを行った。その結果、DMRT1には複数のバリアントが存在することが確認された。DMRT1はZ染色体上に存在し、鳥類の精巣決定遺伝子として知られているため、各々のバリアントがどのような機能を担っているかを明らかにすることは重要な課題となる。 2. RNA-seqおよびsmall RNA-seq (smRNA-seq) 解析 上述した性分化マーカーの発現解析から、先行研究において報告されているニワトリの発生ステージとエミューの発生ステージを比較することにより、性決定前(9日胚)、性決定時期(10日胚)、性決定後(12日胚)の3ステージを決定し、エミュー胚から生殖腺をサンプリングした。性判別後、RNAを抽出し、それぞれRNA-seq解析とsmRNA-seq解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エミューは季節繁殖を行うため、産卵が冬期(12-2月)に限定されている。よって、平成27年度冬期にサンプリングを行った生殖腺からRNA抽出を行い、平成28年度の最初にRNA-seq解析を試みた。しかし、RNA量が不足し、十分な解析を行うことができなかった。そのため、平成28年度冬期のサンプリングにより、RNA-seq解析およびsmRNA-seq解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実施したRNA-seq解析およびsmRNA-seq解析のデーターを用いて、比較解析を行う。3つの発生ステージ間(性決定前、性決定時期、性決定後)および雌雄間で転写産物を比較し、性決定時期から発現を開始し、さらにメスのみで発現が認められる転写産物を同定する。得られた候補配列について、エミューのゲノムDNAを用いてドッットブロットおよびサザンブロット解析を行い、候補配列がメスのゲノムのみに存在するか否かを確認する。また、候補配列のcDNAあるいはゲノムDNA配列をクローニングし、蛍光色素で標識した後に染色体へハイブリダイゼーションし、W染色体上に存在するかを確認する。さらに、候補配列がニワトリおよびウズラのゲノム中にも存在するかを、同様の手法で確認する。最終的にはレトロウィルスベクターを用いたRNA干渉あるいはCRISPR/Cas9によるゲノム編集を行い、候補配列のノックダウンあるいはノックアウトにより機能阻害を行い、メスの生殖腺の表現型にどのような変化が現れるかを、ニワトリ胚あるいはウズラ胚で確認する。
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Research Products
(3 results)