2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集技術応用によるシス制御因子駆動型進化メカニズムの実験検証
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15H04408
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
隅山 健太 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, ユニットリーダー (00370114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進化 / 発現制御 / 発生・分化 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は高効率ノックイン技術の開発検討と、非コード領域エンハンサー配列のゲノム編集技術によるノックアウト・ノックインによりツールキット遺伝子の発現改変をすることを目指して実験を行った。27年度初めに新しい研究室への引っ越しおよび新規マウス実験施設の立ち上げがあり、実際の実験が始められるまでに数ヶ月の遅れが生じたが、その後順調に実験を行える環境が整い実験を開始することができた。最初にコントロール実験として、非コード領域のエンハンサー配列に欠失変異を入れる実験をCRISPR/Cas9を用いて行い、50%の個体に目的の変異を得ることができた。また、ssODNを用いた配列改変では約20%の個体に目的変異を入れることができることを確認した。ただしこれらはいずれもモザイク個体であり初代の解析を行うことはできない。今後は効率を高め、初代での解析を可能にすることを目指していく。またツールキット遺伝子のエンハンサー配列の挿入・欠失による遺伝子発現の変化を追うため、塩基置換を導入したアリルを持つマウスをゲノム編集により作製した。今後はこのヘテロ接合マウスを利用し、種々の非コード領域の改変によりツールキット遺伝子の発現がどのように変化したかをRNA-seqにより解析していく予定である。さらに、外来のエンハンサー配列として利用するための各種エンハンサー配列を整備中であるが、その中で新たにDlx5-6遺伝子の非コード領域配列をクローニングし、その解析を行いこれが強力な鰓弓でのエンハンサー活性を持つことを確認した。今後はこれらのエンハンサー配列を用いてツールキット遺伝子の発現改変を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年4月より新規マウス施設の立ち上げが始まり、当初の試運転期間および立ち上げ時期の種々のトラブルシューティングのため、新施設で実際に動物実験が可能になったのは10月になってからであった。そのために全体の進行にやや遅れが出ているが、通常マウス実験開始後はほぼ順調に進んでおり、今後の実験に必要なマウスおよびDNA・RNA試料のリソース作りが進んでいることから、平成28年度内にはほぼ計画通りの進行に戻る見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続きノックイン実験技術の改良とゲノム変異マウス作製を行っていく予定である。マウス内在性toolkit 遺伝子周辺(プロモーター位置から数kb~数百kb)の様々な領域に、CRISPR/Cas9 によるゲノム編集技術を用いて多様な機能既知のエンハンサーエレメントを打ち込み、異所性のtoolkit 遺伝子の発現を引き起こせるかどうかを検証する。これによりin vivo でどのような条件が整えばtoolkit 遺伝子が新しい発現部位を獲得できるようになるのかを調べる。CRISPR/Cas9 によるノックインは最先端の発展途上の技術であり、新しい工夫を取り入れることによって実用的な効率まで高める技術開発も行っていく。
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Research Products
(1 results)