2016 Fiscal Year Annual Research Report
くらべてわかる、動物体表模様パターンの多様性形成メカニズム
Project/Area Number |
15H04415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮澤 清太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10377905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 潔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20292790)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 模様パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の体表に見られる多彩な模様パターンは、同種識別、交配選択、擬態・隠蔽等、適応的にも大きな意義をもつと考えられる形質である。模様パターンの多様性・バリエーションには、系統的に近縁な種間でありながらまったくパターンが異なるような「近くて遠い」タイプと、その反対に、系統的にはまったく別のグループであるのにパターンが極めて似ているような「遠いけど近い」タイプが存在する。一方で我々は、そうした模様パターンの「描き方」に大きく2つの方法(「ぬり絵」型・「陣取り合戦」型)があることを示した。これら2つの機構は互いに排他的なものではなく、多くの動物種では両者をうまく組み合わせることで、複雑かつ多様な模様パターンを描いていると考えられる。本研究課題では、美しく規則的な模様パターンの多様性がどのように生じるのか、そのメカニズムと進化プロセスを明らかにすることを目的として、上述したパターンのバリエーションと「描き方」の違いに着目した比較解析によるアプローチを行った。本年度は、前年度に引き続きトラフグ属近縁種を対象として「近くて遠い」「陣取り合戦」型の模様パターンをもつ2種についての比較ゲノム解析を進めた。前年度までに作出した両種間交雑系統を用い、色素細胞分布パターンの観察と解析、体表組織模様パターン形成部位のRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行った。また、「遠いけど近い」模様パターンの比較解析に向け、新たにサケ科およびモヨウフグ属の魚種を対象としたRNA-seq/全ゲノム解析に着手した。次年度以降、これらの成果をもとに、模様パターンのバリエーションをもたらす要因について明らかにするべく、解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに進めてきた「近くて遠い」模様パターンの解析に加え、「遠いけど近い」模様パターンの解析に向けても、基礎となるゲノムおよびトランスクリプトームデータの収集と解析に着手することができている。トラフグ属近縁種交雑系統のF2世代以降の作出に関してはやや時間を要している状況ではあるが、総じておおむね順調に進展しているものと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
トラフグ属近縁種交雑系統のF2世代以降の作出について、F1世代の成長と成熟、とくに雌個体の性成熟に予想外の時間を要している状況であった。本年度までに交雑雄個体の成熟を確認することはできたため、野生集団雌個体を用いた交配も視野に入れ検討していきたい。次年度は、これまでに得られた比較ゲノム解析のデータを統合し、「近くて遠い」模様パターンや「遠いけど近い」模様パターンのバリエーションが生み出される要因について明らかにするべく、解析を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)