2017 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04431
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
小崎 智照 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (80380715)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | LED / 高速点滅光 / メラトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
夜間照明は我々の生活を安全にした反面、健康リスクを高める可能性が指摘されている。国際ガン研究機構(IARC)はシフトワークを“おそらく発癌性がある(グループ2A)”に指定している。このメカニズムとして、夜間照明によるメラトニン分泌抑制が示唆されている。このような光による生体への作用は、古くから知られている桿体細胞や錐体細胞といった光受容器ではなく、メラノプシン含有神経節(mRGCs)という新たに発見された光受容器に由来するとされている。mRGCsは古くから知られている光受容器とは光に対する時間応答特性が異なることが報告されている。つまり、同じ波長の光を同じ曝露量(光強度×時間)で曝露しても、短時間だけ発光する高速点滅光と一定に発光している光(定常光)ではmRGCsに対して異なる作用をする可能性がある。昨年度(平成28年度)は高速点滅光によるメラトニン分泌抑制軽減作用が光曝露開始から、どの程度の時間まで得られるのか検討した。その結果、高速点滅光は定常光よりもメラトニン分泌抑制作用が弱いことが示されたものの、その効果は光曝露開始直後(15分後)までで、その後は定常光と同程度のメラトニン分泌抑制作用を示した。mRGCの光に対する時間特性は曝露する光強度に関係することが報告されている。具体的には、光強度が強い場合には光に対する潜時が短くなる。よって、2年目よりも低い強度の高速点滅光に対しては、mRGCの光に対する反応潜時が短くなり、メラトニン分泌抑制作用が光曝露後も長時間継続することが推察された。そこで、本年度(平成29年度)では昨年度よりも低い強度の高速点滅光によるメラトニン分泌抑制作用を検討した。この結果、光刺激開始90分後において、高速点滅光は定常光よりもメラトニン分泌を強く抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、本年度は2年目より低い強度の高速点滅光を用いることで、そのメラトニン分泌抑制の軽減作用が長時間継続すると仮説を立てていた。しかし、実際の結果では、高速点滅光が定常光よりもメラトニン分泌を強く抑制するものとなり、仮説とは異なるものとなった。つまり、これは本研究課題では想定していなかった新たな示唆を与える結果である。この結果を踏まえると、高速点滅光はその光強度などの光条件を変化させることで、定常光よりもメラトニン分泌を強く抑制することも、逆に弱く抑制することも可能であることを示唆する。この結果は、当初計画していなかったものではあるが、これまで想定していなかった新たな知見を示すものであり、十分に成果を達成したものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目である本年度は、高速点滅光は定常光に比べメラトニン分泌を強く抑制するという新たな知見を得ることができた。これまでの研究成果より、高速点滅光が定常光よりもメラトニン分泌抑制効果が低くなるのは以下の条件であることが明らかとなった;①高速点滅光の点滅周波数が100HZ程度の場合であること、②光強度がある程度以上の強度であること、③光曝露開始直後(約15分程度)のみであること。しかし、これらの条件を考慮すると、メラトニン分泌抑制を軽減する高速点滅光を一般生活に応用するには限界があると言える。例えば、100Hzの点滅光はちらつきを感じ不快感や頭痛を生じさせる可能性がある。また、光曝露開始直後のみでしかその効果が得られないのであれば、一般家庭など照明を長時間使用する環境では効果が期待できない。そこで、本研究課題の最終年度としては、メラトニン分泌を強く抑制する高速点滅光条件を検討する。具体的には、高速点滅光の点灯時間と消灯時間の割合(ディティー比)を変化させ、メラトニン分泌抑制作用を定常光と比較検討する。実際に、本研究課題の2年目に瞳孔計を用いた予備研究ではディティー比70%の高速点滅光が定常光よりも強く縮瞳させることが示唆されている。
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Research Products
(5 results)