2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of flooding-tolerant soybean using omics-integration simulation based technology
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15H04445
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 節子 筑波大学, 生命環境系, 研究員 (90355751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 克己 前橋工科大学, 工学部, 教授 (90545419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オミクス / シミュレイション / ダイズ / 湿害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の自給率向上を考える時、ダイズの94%を輸入に頼るのではなく、水田転換畑を活用して増産を図ることが必須である。しかし、ダイズは出芽期の梅雨による湿害に起因する収量低下が問題となって、生産拡大が進んでいない。そこで、出芽期の冠水抵抗性および除水後の回復過程をオミクス技術で解明し、シミュレイション法で絞り込んだ遺伝子について分子生物学的に検証する。 1.ダイズ出芽期の耐湿性を制御する遺伝子の同定と耐湿性を付与する技術の開発 冠水処理下のダイズから、細胞核画分を精製し、ゲルフリープロテオミクス解析技術を用いて、転写調節因子を検出した。その結果、冠水ストレス下のダイズにおいて、プレmRNAプロセッシングおよびプレリボソーム構築が抑制され翻訳が阻害される。さらに、ヒストンH3を中心とするクロマチン構造が変化することが検証された。関連するタンパク質遺伝子に関して検証した。 2.ダイズ出芽期のオミクスネットワーク解析と耐湿性遺伝子群の抽出技術の開発 ダイズ発芽期の冠水ストレス耐性に関わる代謝制御遺伝子の同定では、代謝産物の包括的解析データを利用したシミュレイションモデルの構築と検証を実施した。主要な糖代謝経路であるクエン酸回路周辺の酵素量をパラメータとしてモデルの精度向上を図り、アラニンアミノ基転移酵素とグルタミン酸脱水素酵素の活性変動がダイズの冠水ストレス耐性に重要な機能を持つことを検出するとともに、ストレス耐性と当該遺伝子発現の相関を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り「ダイズ出芽期の耐湿性を制御する遺伝子の同定と耐湿性を付与する技術の開発」および「ダイズ出芽期のオミクスネットワーク解析と耐湿性遺伝子群の抽出技術の開発」は進展している。戻し交雑したダイズの冠水抵抗性試験、タンパク質レベルでのクラスター解析、耐湿性候補遺伝子の発現解析、冠水抵抗時・回復時のプロテオミクス解析を行なった。3か月間繰り越すことにより、冠水抵抗時・回復時の遺伝子発現解析およびタンパク質間相互作用解析まで、当初の計画通り終了した。本内容に関しては、論文も採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、「ダイズ出芽期の耐湿性を制御する遺伝子の同定と耐湿性を付与する技術の開発」および「ダイズ出芽期のオミクスネットワーク解析と耐湿性遺伝子群の抽出技術の開発」ともに推進する。推進上、特に問題は無い。
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