2016 Fiscal Year Annual Research Report
ユリのゲノム研究基盤を利用した花色・早晩性・香りの解析
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15H04447
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 真澄 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40210348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 貴司 静岡大学, 農学部, 助教 (60435576)
大久保 直美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (90343962)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アントシアニン / 転写因子 / VIGS / 花の香り / スカシユリ / 開花の早晩性 / FT / Lilium spp. |
Outline of Annual Research Achievements |
先行する科研費研究において、ユリのゲノム研究基盤を整備・発展させた:Virus induced gene silencing (VIGS)をユリで完成させ、ユリの遺伝子を短期間にノックダウンすることが可能となった; ユリ花弁の全転写産物をRNA-seqで解析し、花色・開花の早晩性・香りに関連する新規の配列を多く得た。本研究ではこれらのゲノム研究基盤と従来から行ってきたQTLマッピングの手法を用いて、ユリの重要形質の遺伝的背景を一気に解明する。花色・開花の早晩性・香りついて調査を進め、品種間差異の原因になっている遺伝子や遺伝子座を明らかにする。その結果、マーカーを用いて初期選抜を行うことでユリの育種を進められるようになり、育種の効率を飛躍的に改善できる。新しい模様をもつユリや、香りのあるスカシユリや、早生のオリエンタルハイブリッドユリの育成に役立つ。 2016年度は、スカシユリ品種グランクリュに現れる大きな斑点の制御メカニズムを明らかにした。この研究では、グランクリュではアントシアニン生合成を制御するR2R3-MYB転写因子の数が増えており、そのうちのひとつが斑点の現れる部位で強く発現するように発現パターンが変わっていることが分かった。 香りの研究では、R2R3-MYB転写因子のひとつであるODO1をオリエンタルハイブリッドユリ品種カサブランカより単離し、この因子がタバコやペチュニアで香気成分の生合成に関わる遺伝子の発現を正に調節していること、さらにODO1の発現には概日リズムがあり夜間に香り成分が濃くなる現象をうまく説明できることを明らかにした。 開花の早晩性に関しては、ユリよりFT(Flowering locus T)遺伝子を単離し、その解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ユリの花弁に模様ができるメカニズムがまたひとつ明らかになった。また、香りの発生を制御するキイ遺伝子の存在がユリで明らかになった。このように本研究の進展は良好で、当初の予定より多くの成果が上がっている
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Strategy for Future Research Activity |
花の模様では突起斑点その他の形質にトライする。香りや開花の早晩性については遺伝子の機能解析をすすめ、投稿論文にまとめられるようにする
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Research Products
(4 results)