2016 Fiscal Year Annual Research Report
The hidden world of jumbo phages
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15H04477
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 隆 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (40230461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 健 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (00510299)
藤江 誠 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (20274110)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 青枯病 / Ralston solanacearum / ジャンボファージ / ゲノム解読 / バイオコントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に従い、4種のファージについて各々の特徴づけを進め、系統学的相互関係解明に大きな進展があった。(1)ゲノム解読については、すでにRSL2(AP014693)と RSL3( AP017925)において完了した。RSL4とRSL5のゲノムは特殊塩基修飾のため、ロシュ、イルミナ、PacBioのいずれの次世代シークエンシングシステムにおいてもまったく解読できなかった。そこで、RT-PCR解析も兼ねて、ファージ感染菌体(MAFF730138株)から感染後10min, 30min, 90minの総RNAを抽出し、ランダムプライマーを用いて逆転写後イルミナシークエンサー解析を行った。その結果、50kb, 21kb, 17kb, 10kb, 10kbの5個の contig(計117kb)が得られた。この配列を用いてTks Gflex DNAPで増幅を行い、修飾の外れたゲノムDNA取得が可能となった。(2)プロテオミクス:RSL2とRSL3については粒子プロテオミクスを完了した(2報論文作成)。(3)感染特性(単ステップ増殖解析):4種のファージに共通した特徴は長い感染サイクル(4-6h)と比較的小さいバーストサイズ(30-60pfu/cell)である。このサイクルは宿主菌集団とファージの持続的共存を意味し、病原菌のバイオコントロールにおいては有利な特性となる。(4)トマトを用いた青枯病菌防除効果:トマト苗を用いた感染実験において、ファージ処理は何れも長期にわたり高い予防効果を発揮した。特にRSL4とRSL5の効果は安定していた。(5)系統解析:ゲノム配列情報からデータベース登録60種の大型ファージについて系統解析を行った。RSL2とRSL3は緑膿菌ファージphiKZと同一クレードを形成した。RSL1はまったく独立した位置づけとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4種のファージのうち2種(RSL2,RSL3)についてはほぼ解析を終了し、系統学的位置づけも緑膿菌ファージphiKZと同一クレードと確定した。塩基の高度な修飾により残り2種(RSL4,RSL5)についてはすべての次世代シークエンサーが無効であったが、感染菌からのRNA抽出と逆転写法によって部分的解読に成功した。さらにTks Gflex DNAPが有効であることを見出したので、今後一気にゲノム解読、プロテオミクスが進展できる。バイオコントロール効果については期待通り、いずれのジャンボファージも高い有効性を示した。特に RSL4とRSL5の持続性が高く実用化が期待できる。持続性の理由として以下の2点があげられる:(1)ゲノム修飾による耐性菌の出現頻度が低いこと、(2)耐性菌が出現しても、多くの場合細胞表層リポ多糖質の変化を伴い、これにより病原性を消失すること。
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Strategy for Future Research Activity |
RSL4,RSL5については、すでに得られた117kbpの配列をプライマーとしてTks Gflex DNAPによるゲノム増幅を行い、脱修飾ゲノムに対して次世代シークエンシングによって一気にゲノム解読を行う。すでに部分的情報に基づき、これらファージが相互に類似しており比較的RSL1に近い系統的位置づけにあると推定している。年々、ジャンボファージの情報がデータベースに増加しており、Ralstonia solanacearumのファージを含めて、それらは大きく3グループに系統わけできる。他に超大型ファージG(~500kbp)とXanthomonas citriに感染するXacN1(490kbp)が際立った存在となっており、それらとの相互関係も興味深い。XacN1のゲノム解析、プロテオーム解析、粒子構造解析、ファージ特性解析も行い、青枯病菌ファージとの比較において大型ファージの世界の理解を深める。
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Research Products
(9 results)