2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04491
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
橋本 勝 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40212138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
殿内 暁夫 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (50302021)
田中 和明 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (60431433)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイコパラサイト / ネオマクロフォリンX / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイコパラサイト現象を示す、Trichoderma sp. 1212-03菌培養液からネオマクロフォリンI-IIIを報告してきたが、今回新たにネオマクロフォリンXと命名した[4.4.3]プロペラン構造を有する新規物質を単離した、1H-NMRスペクトル等の解析により、セスキテルペン部については他のネオマクロフォリンと同様なdoriman構造を有することが判明した。非テルペン部については、NMRを用いた構造解析に有用なプロトンが少なく得られる情報は限定的であった。 そこでスペクトル解析から得た部分構造を基に考えられる全ての可能な構造について、理論計算からその絞込みを行った。計算時間を考慮し、ドリメン部をメチル基に置換したモデル化合物を用いて解析を行った。計算は、1、配座解析、2 ωB97X-D/6-31G*による構造最適化、3 同汎関数による化学シフト計算、4 配座分布に基づく化学シフトの補正、の順で理論化学シフトを求め、実験値と比較することによって、予想構造の絞込みを行い、1の構造を推定した。しかし、C-8”/C-13”結合様式を逆にしたG環部の異性体と比較した場合、予想化学シフトの差は小さく、完全に絞り込むことは出来なかった。 1のF-G環部、C環部は発色団であり、これら発色団のキラルなねじれに基づくCotton効果では、NMRで区別できなかった異性体間においても異なると期待した。先に求めた安定配座を基に、BHLYP/def2-TZVPにより計算、配座分布に基づく補正をして理論ECDスペクトルを求めたところ、予想どおり異性体間ではスペクトルが大きく異なり、うち一方は天然物のそれと良い一致を示した。結合定数など総合的にも矛盾はなかったことから、その全構造を絶対配置を含めて決定した。 また、プロペラン構造の生合成機構についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイコパラサイト現象を起こす、糸状菌Trichoderma sp. 1212-03には多くの二次代謝物が含まれており、それらの多くが強い抗菌活性を示すことが明らかになった。特に、今回単離したネオマクロフォリンXはその複雑な構造から、計算機科学など最新の手法を応用する必要があった。その結果それら手法はきわめて有効で有ることを実証することが出来た。しかし構造決定に時間がかかり、マイコパラサイト現象との関係については解析が不十分といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ネオマクロフォリンアントラキノン型天然物とネオマクロフォリンIーIVのいずれかとが、2+3環化により合体して精製することから、一定の条件が整うとこの生合成が進行すると考えられる。ホストの存在がこの生合成を促すと考えることが出来る。今後この仮説を検証していきたい。
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[Journal Article] Dictyosporiaceae fam. nov.2016
Author(s)
Boonmee S, D’souza MJ, Luo Z, Pinruan U, Tanaka K, Su H, Bhat DJ, McKenzie EHC, Jones EBG, Taylor JE, Phillips AJL, Hirayama K, Eungwanichayapant PD, Hyde KD
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Journal Title
Fungal Diversity
Volume: 80
Pages: 457-482
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Taxonomy and phylogeny of dematiaceous coelomycetes2016
Author(s)
Wijayawardene NN, Hyde KD, Wanasinghe DN, Papizadeh M, Goonasekara ID, Camporesi E, Bhat DJ, McKenzie EHC, Phillips AJL, Diederich P, Tanaka K, Li WJ, Tangthirasunun N, Phookamsak R, Dai DQ, Dissanayake AJ, Weerakoon G, Maharachchikumbura SSN, Hashimoto A, Matsumura M, Bahkali AH, Wang Y
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Journal Title
Fungal Diversity
Volume: 77
Pages: 1-316
DOI
Peer Reviewed
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