2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 正敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50237278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川出 洋 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20291916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物 / ホルモン / 生理活性物質 / コケ / 分化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
コケ植物の生活環を制御する分化促進物質の構造解明を目的として下記(1)と(2)の両方向から研究を進めた。 (1)[研究代表者・中嶋が主に担当]生物検定系の応答状況に基づくKA代謝物の追跡に関しては27年度に大きな進捗を得た。すなわち、KAの検出および定量化に関しては長年、GC/MSに頼らざるを得なかったところを、その分子的な特性を利用してLC/MS/MSを用いる新たな手法を開発し、これにより簡便な高感度分析が可能となった。この独自手法を応用して、前年度に存在を把握したKA投与に伴う主要代謝物が含まれるHPLC精製画分とその近傍の画分を重点的に解析し、この主要KA代謝物の分子量が判明した。生物検定を実施時の画像を分化誘導活性の定量化に用いる処理法を開発し、これまで難しかった活性の強弱が評価可能になった。 (2)[研究分担者・川出が主に担当]KA代謝に関わるP450候補分子の追跡では、当初予定した次世代シーケンサーによる発現解析が代謝の安定性および反応量の向上に手間取り予定どおり実施できず、しかしそうかと言って軽々に進めるべきことではないと考えて最終的に27年度内の実施見送りを決断した。当初発現量や応答状況から関与の可能性が高いと判断したP450候補らは、異所発現系を用いて順次翻訳産物を調製したが、その中にKA代謝能を持つものを確認できなかった。そのため、各候補遺伝子の破壊株を作成し、分化に与える影響を調べるアプローチを新たに開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者と分担者は、常時緊密に連携をとりあっている。達成度を高める上で、代表者が主に実施項目(1)を、分担者が主に項目(2)を担当する現研究体制に問題はない。項目(1)では、生物検定系を用いたX関連の代謝物質候補として複数の活性物質の検出に成功した。項目(2)では、異所発現系で調製したリコンビナントタンパク質の酵素活性確認には至らない状況ながら、その困難さはある程度想定の範囲内であり、問題点クリアに向けた別アプローチを既に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
物質Xの構造解明を目的として最終の29年度は従来の(1)(2)に加えて、以下の3方向から研究を推進する。 (1)回復応答生物検定系を用いた物質Xの同定(担当:中嶋・川出) ent-カウレン合成能欠損に伴い分化が阻害されたコケ変異株は、ent-カウレン酸(KA)投与で分化の回復応答が認められる。この応答系を利用して、KA投与後のコケ変異体が体内に含む酸性低分子有機化合物を対象として行ったHPLC精製画分の中に、分化回復活性を示す画分の存在を再現よく認めた。昨年度から開始した主要KA代謝物質の構造決定について今年度も継続して行う。 (2)生合成酵素の機能確認に伴う物質Xの同定(担当:川出) 系統樹解析および発現解析に基づき、初年度にやり残した物質Xの生合成に関わることが期待されるP450候補遺伝子の破壊株作出を継続する。加えて、再試が必要となった次世代シーケンサーの解析を急ぎ、解析対象の候補遺伝子を新たに追加する。 (3)受容体アンタゴニストを用いた物質Xの同定(担当:中嶋) 市販化合物ライブラリーの中から上記(1)コケ変異株を分化回復応答させる化合物を選抜して、それらの構造類縁体の中から受容体アンタゴニスト候補を選抜した。そこで今年度は、それら化合物を上記(1)コケ変異株に投与し、代謝物等の蓄積状況を精査する。
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Research Products
(7 results)