2015 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスを由来とする強靭で透明な新規多孔体の機能解析と応用展開
Project/Area Number |
15H04524
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 継之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90533993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 幸恵 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30301120)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | セルロース / エアロゲル / 発泡体 / 断熱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、空隙率・細孔径・比表面の異なるセルロースナノファイバー(CNF)エアロゲルについて、伝熱特性を比較した。ナノポーラスなエアロゲル1・2は、2種の異なる工程で調製した。エアロゲル1は、CNF分散液に希酸を加えてゲル化し、液体二酸化炭素で溶媒を置換後、超臨界乾燥することによって調製した。エアロゲル1は、よく孤立したCNFのネットワーク骨格を有する。エアロゲル2は、CNF分散液にt-BuOHを加えてゲル化し、t-BuOHで溶媒を置換後、凍結乾燥することによって調製した。エアロゲル2は、CNFが部分的に凝集したネットワーク骨格を有していた。マクロポーラスな発泡体状のエアロゲル3は、CNFの水分散液を直接凍結乾燥することによって調製した。分散液を液体窒素中で急速凍結すると、ミクロンスケールの氷晶が形成し、その周りにCNFが局在化する。氷晶を昇華させると、局在化したCNFの膜状凝集体を固相とするマクロポーラスな発泡構造体が得ることができる。これら3種のエアロゲル試料のについて、固相の体積分率に対する熱拡散率を比較したところ、log-log plotにおいて線形関係を示すことが見出された。log-log plotの直線の傾きは、固形分率への依存性を示す。エアロゲル1、2、3の各傾きは、それぞれ-0.6、-0.5、-1.6であった。すなわち、エアロゲル1・2と比較して、発泡体状のエアロゲル3の熱拡散率αは、固形分率が増加したとき、著しく低下した。これは、エアロゲル3の膜状固相が形成する閉塞的な細孔構造が、温度勾配の緩和を著しく遅らせることができることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、構造の異なるCNFエアロゲルについて、伝熱特性を比較し、効率的な断熱性を発現する固相構造を明らかにした。当初、エアロゲルを炭化して得られる新規ナノカーボン材料についても構造決定まで進展させる予定であったが、想定よりもプロセスに時間がかかってしまうため、解析が計画に追いついていない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度に引き続き、ナノカーボン材料の形成と解析のトピックを進展させ、28年度内には構造解析まではまとめる予定である。また、蒸発乾燥により形成させるCNFキセロゲルについても、28年度は着手する。
|