2016 Fiscal Year Annual Research Report
流体操作技術による新たな精子選別技術の開発と実証試験
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15H04585
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山下 健一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 研究グループ長 (90358250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪谷 美樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 主任研究員 (00355687)
山中 賢一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40572920)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家畜 / 繁殖 / マイクロ流体 / 体外受精 / 人工授精 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ流路を用いた流体操作技術による、独自の運動性精子捕集技術を基盤として、繁殖用精液の簡便な精製技術を確立し、高度に計画的な家畜繁殖の実現を目指して研究を行っている。28年度は、体外受精系による評価を通じて、人工授精への適用可能性についての検討を中心に行った。具体的には、捕集した精子の性状(DNA断片化率など)と、体外受精に供した後の胚の分割状況や環境耐性に関する試験、性割合に関する分析、などを行った。 選別された精子の性状を分析したところ、同ロットの非選別や別ロットの非選別に比べ、有意に低いDNA断片化率をTUNEL法により確認した。DNA断片化率が低い精液は、繁殖性の改善につながることは一般的に知られている。次に、体外受精による試験を行った。全体的な傾向として、高い(胚盤胞発生胚/分割胚)率を示した。これは言い換えれば、受精後、胚が分割していく途中で分割停止とならないということであり、特徴的な結果である。また、体外受精成績の精子濃度については、低い精子濃度でも、高い発生率を示した。高温での媒精を実施した場合、非選別精子と比較し胚盤胞発生率が改善された。 これらの結果は、運動性選別精子の繁殖に対する有効性を示すものである。具体的には、低いDNA断片化率は完全性の高いDNAを運んでいることを示し、低い精子濃度での高い(胚盤胞発生胚/分割胚)率は、得られた胚の品質の高さを示し、高温での受精能力は耐環境能力を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度の計画は、本技術を人工授精に適用可能であるかを判断する、という点に集約されるものであった。結果として、人工授精に適用可能と判断される精子数を捕集できるようになっていることとともに、その捕集精子の優良な性状を、体外受精にて確認できたことから、上記のとおり評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定どおり、選別精子の受精試験の再現性を確認することで、人工授精試験を行うか、胚移植による試験とするのかの判断を行う。その選択に基づいた実証試験を行うことで、受胎や胎児の発育の性状性に関する確認を行う。
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