2015 Fiscal Year Annual Research Report
ノトバイオート技術を基盤としたハダカデバネズミの真社会性制御機構の解明
Project/Area Number |
15H04604
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森田 英利 岡山大学, その他の研究科, 教授 (70257294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
三浦 恭子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (80583062)
藤 英博 九州大学, 生体防御医学研究所, 研究員 (10353468)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハダカデバネズミ / ノトバイオート / 真社会性 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / 不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハダカデバネズミは、老化耐性(約30年の寿命)と高いがん化耐性(ヒアルロン酸による機序)という興味深い特徴をもつことで注目されている。さらに、ハダカデバネズミは1つの群れ(巣)の中に、1匹の女王、数匹の王および多数の兵士・労働者から構成される階級社会の形成した上で、“真社会性”の社会構造を構築し、女王のみが妊娠・出産し、その集団の中には不妊の階級をもつ。その群れの女王が死亡すると、メスの兵士・労働者の1匹が女王になって妊娠と出産を開始し、また女王から引き離したメスの兵士・労働者は数ヶ月後に排卵する。これらの現象から、女王以外の雌個体は何らかの機構で性的成熟を抑制されており、単純な遺伝子の有無や変異では説明できないと考えている。併せて、メスの兵士・労働者から女王に変化する機序も不明である。ハダカデバネズミのエピゲノム解析の報告はみられないが、全ゲノム配列は2011 年(Nature誌)に報告されている。また、免疫系を介して不妊と腸内細菌叢が関係することから、メス無菌マウスに女王やメスの兵士・労働者の糞便を経口投与してノトバイオートマウスを作成し、性成熟や妊娠に関する研究を行う。 本研究では平成27年度に、エピジェネティック機構をDNAメチル化の観点から解明する目的で、全ゲノムバイサルファイトシークエンシング(WGBS)によるゲノムレベルでのDNAメチル化(メチローム)解析を行った。すなわち、メス兵士・労働者の子宮と卵巣の組織から、post-bisulfite adaptor tagging(PBAT)法によりバイサルファイト処理したライブラリを作製しWGBSを行った。現在、その配列データ群を用いた情報解析を行い、ハダカデバネズミの子宮と卵巣のメチロームマップを作成中である。また平行した実験により、女王腸内細菌叢を経口投与したノトバイオートマウスの作出を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女王ハダカデバネズミの糞便を用いたノトバイオートマウスを作出し、糞便を回収した。 メス兵士・労働者の全ゲノムバイサルファイトシークエンシングが、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き、全ゲノムバイサルファイトシークエンシングによるハダカデバネズミの他細胞種のメチローム解析を実施する。 複数のメチロームマップも作成し、メチロームマップの比較解析を実施し、細胞種に特異的なDNAメチル化可変領域を抽出する。 ノトバイオートマウスの糞便の細菌叢解析と成熟度について評価していく。
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Research Products
(1 results)