2015 Fiscal Year Annual Research Report
SUMO化修飾による非コードDNA領域の機能制御機構の解明
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15H04630
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 克典 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60273926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 勝 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (90293597)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テロメア / 染色体 / SUMO翻訳後修飾 / 分裂酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体末端繰り返し配列であるテロメア長の制御は細胞の老化とがん化に重要な役割を果たす。研究代表者は分裂酵母をモデル生物として、SUMO翻訳後修飾がテロメアの長さの維持・制御に重要な役割を果たすことを世界に先駈けて発見した。そしてごく最近、分裂酵母のテロメア複合体構成タンパク質の1つである Tpz1タンパク質がSUMO化修飾を受け、その修飾の消失によりテロメアが「SUMO欠損株でのテロメア伸長の度合い」とはほぼ同程度に伸長する事を発見した。 そこで、本研究では、過剰なテロメア伸長を防ぐバックアップ機構が存在すると仮定し、遺伝学的な手法を駆使してその機構を明らかにすることを目的とする。具体的には、SUMO化経路とRif1経路のクロストークの有無を分子レベルで解明する。研究費の使途としては、研究遂行に必要な試薬、試料の購入を予定している。真核生物の染色体末端であるテロメアの伸長はある程度のところで停止する。新たに、「どうしてテロメアは伸長し続けず、ある程度の長さに収束するのか」という疑問が生じた。 本研究の結果、SUMO化修飾経路とRif1による経路が独立してテロメア長の制御に関与することが明らかとなった。具体的には、両経路が機能しなくなるとテロメアはテロメア合成酵素により異常に伸長することが分かった。セントロメア機能に関与するSUMO化の標的タンパク質は、現在も探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・テロメア長制御に関しては、Rif1タンパク質を介した経路をバックアップ経路の有力候補として見出すことができた。 ・セントロメア機能に関する標的タンパク質は現在も絞り込み中であるが、幾つか候補を得ている。 ・SUMO化されたTpz1の構造解析は、大腸菌での共発現系の確立に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
・テロメア長制御に関しては、Rif1タンパク質を介した経路の詳細を明らかにすることで、バックアップ経路の実体解明を目指す。 ・ヘテロクロマチン・セントロメア機能に関するSUMO化標的タンパク質を特定し、それら機能へのSUMO化の関与の実態に迫る。 ・SUMO化されたTpz1の構造解析の完成を目指す。そのためには発現条件の最適化も必要である。
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Research Products
(5 results)