2015 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of HIston methyation in retinal defferentiation and maintenance
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15H04695
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60240735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 網膜 / ヒストン修飾 / 視細胞 / ヒストンメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
視細胞特異的に発現する遺伝子の遺伝子座におけるヒストンH3K27me3修飾の役割を検討した。H3K27me3のメチルトランスフェラーゼの網膜特異的ノックアウトマウスを用いて、網膜がどのように発生するか詳細に検討を加えた。さらに、Cd73表面抗原を用いて、網膜を視細胞とそれ以外の細胞に分離して、RNA-seqとH3K4me3, H3K27me3のChip-seqを行い、細胞系列特異的にヒストンメチル化が入るメカニズムと役割を検討した。H3K4me3は視細胞の分化にとって必須の遺伝子に、分化の時間軸に沿って修飾レベルが上がり、一方これらの遺伝子のH3K27me3のレベルが他の系列の細胞で抑制されるというこれまでの仮説が支持される結果が得られた。ヒストンアセチル化、他のヒストンメチル化などとの相互作用を検討していた過程で、ヒストンH3K36me3, me2 の脱メチル化が視細胞の維持に必須であることが明らかになり、このメカニズムを明らかにするため、網膜特異的脱メチル化酵素のノックアウトマウスを作成し、このフェノタイプを検討した。このマウスは生後すぐまで網膜が正常に発生するが、その後、視細胞の分化がスタートすると急速に変性が起こることが明らかになった。視細胞分化関連の遺伝子の発現が多数抑制されていた。この脱メチル化酵素、および、H3K36me3, me2のChip-seqを行い、標的となる遺伝子座の同定を行うためのデータベースを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではヒストンH3K27me3, H3K27ac, H3K4me3に着目して研究を展開する予定であった。しかし研究の過程でヒストンH3K36me2,3の重要性が明らかになりつつあり、一方で、 H3K27ac, H3K4me3についてはこれまで明らかにしたこと以上の結果が出てこなかったため、研究の方向性の軌道修正が必要になった。このためやや遅れが生じたが、その後、H3K36me2,3 の研究が順調に展開し、遅れを取り戻したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後H3K36me2,3 と、これまで行ってきたヒストンH3K27me3との相互作用を中心に検討を行う。前年度までに、Chip-seqのデータベースを構築し、これを基盤に研究を展開する。
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Research Products
(1 results)