2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規MAPK基質分子による遺伝子発現制御機構と癌におけるその破綻
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15H04703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30322332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / がん / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ERK経路は増殖因子によって活性化されるシグナル伝達システムであり、基質分子のリン酸化を介して、最終的に特定の遺伝子の発現量を調節する事で、細胞増殖の制御と発癌に中心的な役割を果たしている。実際に、ERK経路の上流に位置する受容体型チロシンキナーゼや、Ras、BRafなどの遺伝子は、様々な癌において高率に変異が見出される癌遺伝子であり、ERK経路を恒常的に活性化して発癌を導く。ERKはプロリン指向性キナーゼであり、基質分子内に存在するSP/TP配列を特異的にリン酸化することが知られている。これまでにERKの基質として転写因子やキナーゼを始めとする複数の分子が報告されている。しかしながら、未だ同定されていない未知の基質分子も数多く存在すると考えられており、その解明は癌の病因・病態の理解と新規治療法開発の観点からも重要である。本研究において我々は、ERKの基質分子を網羅的に同定する新たな実験手法を開発して、ヒトcDNAライブラリーのスクリーニングを行い、MCRIP1を始めとする複数の新規遺伝子を同定することに成功した。さらに、MCRIP1が、転写抑制共役因子CtBPと直接結合して、CtBPの転写抑制作用を解除する作用を持つこと、またその結果、CtBPの標的遺伝子であるE-カドヘリンの発現が保持されていることを見出した。一方、ERKによってMCRIP1がリン酸化されると、CtBPがMCRIP1から解離してプロモーター上に結合出来る様になり、周囲のヒストン修飾を変化させて、E-カドヘリンの発現抑制と上皮間葉転換を惹起することを明らかにした。また我々は、癌細胞におけるMCRIP1のリン酸化異常がEMTを促進して、癌の悪性化を招くことを示した。H28年度は、特にMCRIP1遺伝子改変マウスの作成を進め、その表現型の詳細な解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに機能未知の新規遺伝子MCRIP1がERKの基質であり、CtBPの機能制御を介して標的遺伝子の発現をエピジェネティックに抑制することを見出した。また、MCRIP1の生理機能を個体レベルでも明らかにすべく、遺伝子改変マウスの樹立を行い、多くの有望なデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスの解析を推進し、MCRIP1の生理機能や、その制御異常がもたらす病理的意義について、個体レベルで詳細に解明する。またMCRIP1-CtBPシステムによって制御される標的遺伝子を明らかにする。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Genomic loss of DUSP4 contributes to the progression of intraepitherial neoplasm of pancreas to invasive carcinoma.2016
Author(s)
Hijiya N, Tsukamoto Y, Nakada C, Tung NL, Kai T, Matsuura K, Shibata K, Inomata M, Uchida T, Tokunaga A, Amada K, Shirao K, Yamada Y, Mori H, Takeuchi I, Seto M, Aoki M, Takekawa M, and Moriyama M.
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Journal Title
Cancer Res
Volume: 76
Pages: 2612-2625
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] DUSP4の発現低下は膵上皮内癌から浸潤癌への進展に関与する2016
Author(s)
Naoki Hijiya, Yoshiyuki Tsukamoto, Chisato Nakata, Tomoki Kai, Keiko Matsuura, Masafumi Inomata, Kuniaki Shirao, Hiromu Mori, Masao Seto, Masahiro Aoki, Mutsuhiro Takekawa, Masatsugu Moriyama
Organizer
第75回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(横浜)
Year and Date
2016-10-06 – 2016-10-08
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