2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of bacterial virulence system via novel RNA binding proteins
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15H04727
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 力 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (60420238)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環状ヌクレオチド / 2Hホスホエステラーゼスーパーファミリー / 高温耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々なヒトに対する病原性細菌において、薬剤耐性菌の蔓延が臨床上大きな問題となっている。そのため、細菌の病原性制御機構の理解に基づいた、新しい作用機序の感染症治療薬の創製が望まれている。本研究の目的は、新規RNA結合タンパク質による細菌の病原性制御機構の理解を目的としている。本年度は、カイコ殺傷能力を指標として同定した病原性因子CvfGについて、機能解析を試みた。 CvfGを多量発現させた大腸菌は、非発現株に比べて高温条件における増殖能が上昇した。CvfGは、環状ヌクレオチドを分解する活性を有する2Hホスホエステラーゼスーパーファミリータンパク質に相同性を有していた。CvfGが環状ヌクレオチドを分解する活性を有するかについて、大腸菌を用いて精製したリコンビナントCvfGタンパク質を用いて検討した。その結果、CvfGは2’,3’-cGMPと2’,3’-cAMPを分解する活性を示した。環状ヌクレオチド分解活性がCvfGの機能に重要であるか知る目的で、2Hホスホエステラーゼスーパーファミリータンパク質の間で保存されたアミノ酸残基4種類にアラニン置換変異を導入した。その結果、アラニン置換変異を導入した変異型CvfGは、いずれも環状ヌクレオチド分解活性を失ったが、野生型タンパク質と同様に、高温条件における大腸菌の増殖能を上昇させた。以上の結果は、CvfGが細菌の高温耐性に寄与すること、ならびに、その機能に環状ヌクレオチド分解活性が必要ないことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、機能未知因子CvfGについて、遺伝学的解析と生化学的解析によりその機能を明らかにすることを試みた。CvfGを多量発現した大腸菌の性状解析を行った結果、CvfGが大腸菌に対して高温耐性を賦与することを発見した。さらに、リコンビナントCvfGを精製することにより、CvfGが環状ヌクレオチドを分解する活性を有することを見出した。 以上の研究進捗状況から、本研究計画がおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
カイコ殺傷能力を指標として同定した新規RNA結合タンパク質について、機能解析を進める予定である。具体的には以下を予定している。 (1) CvfGが黄色ブドウ球菌の遺伝子発現に与える影響の解明 (2) 高温耐性を賦与するCvfGの分子機能の解明 (3) ピロフォスファターゼに相同性を有するCvfHの機能の解明
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Research Products
(7 results)