2017 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞の分化に必須な特異的エピゲノム形成機構の解明
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15H04744
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
大倉 永也 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (20300949)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 制御性T細胞 / エピゲノム / DNAメチル化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
Treg発生期におけるゲノム再構成の必要性を明らかにするため、ゲノムオーガナイザーSatb1をCD4細胞特異的に欠損させたところ、Tregの分化、発生が阻害され重篤な自己免疫疾患を発症した。Satb1欠損マウスではヒストン修飾の１つであるH3K27acのパターンに変化が見られ、Satb1結合結合領域を中心に、H3K27acの低下が認められた。このH3K27acの低下はTreg特異的スーパーエンハンサーの成立阻害を引き起こし、Treg特異的遺伝子発現の喪失が認められた。一方、末梢におけるinduced Tregの誘導は、Satb1欠損マウスにおいても、十分認められた。すなわち、Satb1欠損マウスでは、胸腺由来のTreg発生のみが傷害されるが、末梢由来のTregは存在するという表現型となり、結果特定の臓器に自己免疫疾患を発症した。これらの結果は、胸腺におけるTreg発生は、Treg特異的super enhancerの成立、それに続くTreg特異的epigeneticパターンの成立、Treg特異的遺伝子発現という過程が必要であることを示している。
次に、ヒトTreg細胞の全ゲノムDNAメチル化解析を行ったところ、T細胞活性化に伴うDNA脱メチル化が顕著にあらわれ、Treg特異的な脱メチル化CpGは一部の領域に限定されていた。さらに、Treg特異的な脱メチル化はプロモーターやCpG islandではほとんど検出されず、遺伝子内部のエンハンサー領域に集中していた。これらのことは、細胞腫特異的発現はプロモーター領域のエピジェネテック変化によってコントロールされるのではなく、遺伝子内部に存在するエンハンサー領域を介した転写調節機構が支配している可能性が高いことを示している。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Treg発生期におけるゲノム高次構造の変化についての解析では、Treg発生期にSatb1が結合する領域を欠損させたマウスを作製し、解析を進めている。Treg機能発現に重要な転写因子であるFoxp3の制御領域に存在するSatb1結合部位を1カ所欠損させた状態では、Treg発生に大きな変化は見られなかった。現在、Foxp3の発現調節に重要と判明している調節領域を欠損させたマウスと交配し、2重欠損マウスを作製し、表現型の解析を進めている。
Treg特異的DNA脱メチル化パターンについては、ヒト末梢血中のTregサブタイプおよび通常のT細胞、活性化T細胞の全ゲノムDNAメチル化パターンを取得し、Treg特異的脱メチル化領域、活性化特異的脱メチル化領域等を決定し、他のエピゲノム修飾領域との相関、Treg特異的遺伝子発現との相関、Treg特異的bidirectional RNA enhacnerとの相関を解析中である。さらに、ヒト疾患とSNPとの連鎖をまとめたGWAS(Genome-wide association study)データベースおよび1000人ゲノムプロジェクトのデータを利用し、Treg特異的DNA脱メチル化領域と疾患との関連を解析中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
Treg発生期におけるゲノム高次構造変化の解析、およびDNAメチル化情報に基づくTreg細胞の解析は、現在の進捗状況に従い、順次進めていく。今後の展開としては、胸腺におけるTreg発生時の遺伝子発現変化をシングルセル解析によりおこない、通常のT細胞とTreg細胞との分岐を決定づける機構について解析をおこなう。具体的には、胸腺の様々な細胞のシングルセルRNA-seqをおこない、細胞の分化に応じた細胞分画を同定後、分画内における特異的変化を示す遺伝子群の抽出を行い、Treg発生に重要な細胞内変化を解析する。本情報をこれまでの情報と統合し、Treg発生における初期現象の解明に取り組む。
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