2016 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド化臓器再生因子の腎送達システムの構築と次世代型腎疾患治療薬への応用
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15H04758
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドラックデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病は、高齢化及び生活習慣病の普遍化に伴い罹患率が急増しているが、根本的な治療法 が確立していないアンメットメディカルニーズの一つである。この課題の克服には、腎臓自身が有する内在的な修復/再生能力を誘導する因子を効率良く持続的に供給するための腎ターゲティングシステムの確立が必要不可欠である。本研究は、in vivo ファージディスプレイ法により独自に見出した腎特異的認識ペプチドを血中滞溜性に富むアルブミンに付加した組換え型融合体により、腎送達効率と血中保持能の向上を両立させた革新的ナノキャリアを構築するとともに、これにハイブリッド型の腎修復/再生因子を結合させたセルフリーな体内誘導型腎臓修復/再生治療剤の創製と、それを慢性腎疾患治療に応用することを企図した独創的かつ画期的な試みである。これが実現できれば、多様な腎疾患に対する初の抜本的な治療薬となるため、末期腎不全からの透析導入 を減少させる結果、ヘルスケアの向上はもとより、医療経済的な貢献も大いに期待できる。初年度は、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の作製を試みたが、我々が構築したアルブミン融合技術と酵母を用いた発現系により、収率良く均一性の高い融合タンパク質を得ることができた。本融合体はONO-1301 に対してHSAと同等の結合親和性を有していたことから、融合体とONO-1301 を混合することで、狙いとする腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の作製に成功した。また、本複合体の物理化学的、立体構造的特性を解析するとともに、腎保護/修復因子であるBMP7やHGFの活性を保持していることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、in vivo ファージディスプレイ法により独自に見出した腎特異的認識ペプチドを血中滞溜性に富むアルブミンに付加した組換え型融合体により、腎送達効率と血中保持能の向上を両立させた革新的ナノキャリアを構築するとともに、これにハイブリッド型の腎修復/再生因子を結合させたセルフリーな体内誘導型腎臓修復/再生治療剤の創製とその有用性評価である。昨年度は、まず腎不全病態動物(ラット、マウス)の作製を確立し、これらを用いて初年度作製した腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の体内動態解析を行い、健常動物の結果と比較検討した。その結果、複合体の血中滞留性はHSAよりも30%程度減少していたが、腎臓への分布は有意に増加していた。ヒト FcRn 改変マウスを用いた検討では、野生型マウスに比べて、複合体の血中滞留性が大幅に延長したことから、複合体のHSAがヒト FcRn 改変に認識されリサイクリングを受けている可能性が示唆された。これらの結果から、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体は、当初の目論みどおり血中を滞留しながら腎臓へBMP7とONO-1301を送達していることが推察された。また、最終年度に向けて、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の腎不全病態動物に対する治療効果の検証実験にも着手しており、病態作製時での予防投与では、腎障害を抑制する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に続き、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の腎不全病態動物に対する治療効果を予防投与(病態作製時)及び後投与(線維化や障害の出現後)で検討する。その際、線維芽細胞からの HGF の発現増強、 腎臓の線維化の抑制、腎機能改善効果を評価する。また、腎保護/修復効果に対するBMP7あるいはHGF の寄与を確認すべく、これらの中和抗体を併用投与し、腎保護/修復効果に及ぼす影響を評価する。さらに、ヒト FcRn 改変マウスの腎病態モデルを作製し、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301 複合体の腎保護/修復効果を検証する。複合体あるいは腎認識ペプチド-HSA-BMP7はヒトFcRnによるリサイクリングを受けることが予想されるため、本実験により複合体におけるアルブミンの関与を明らかにすることができると思われる。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The down-regulation of ABCG2, a urate exporter, by parathyroid hormone enhances urate accumulation in secondary hyperparathyroidism2017
Author(s)
Sugimoto R, Watanabe H, Ikegami K, Enoki Y, Imafuku T, Sakaguchi Y, Murata M, Nishida K, Miyamura S, Ishima Y, Tanaka M, Matsushita K, Komaba H, Fukagawa M, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
Kidney Int
Volume: 91
Pages: 658-670
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Potential therapeutic interventions for chronic kidney disease-associated sarcopenia via indoxyl sulfate-induced mitochondrial dysfunction2017
Author(s)
Enoki Y, Watanabe H, Arake R, Fujimura R, Ishiodori K, , Imafuku T, Nishida T, Sugimoto R, Nagao S, Miyamura S, Ishima Y, Tanaka M, Matsushita K, Komaba H, Fukagawa M, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
J Cachexia Sarcopenia Muscle
Volume: 印刷中
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Human Serum Albumin Hydropersulfide is a potent reactive oxygen species scavenger in oxidative stress conditions such as chronic kidney disease2016
Author(s)
Shibata A, Ishima Y, Ikeda M, Sato H, Imafuku T, Chuang VTG, Ouchi Y, Abe T, Watanabe H, Ishida T, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
Biochem Biophys Res Comm
Volume: 479
Pages: 578-583
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Indoxyl sulfate potentiates skeletal muscle atrophy by inducing the oxidative stress-mediated expression of myostatin and atrogin-12016
Author(s)
Enoki Y, Watanabe H, Arake R, Sugimoto R, Imafuku T, Tominaga Y, Ishima Y, Kotani S, Nakajima M, Tanaka M, Matsushita K, Fukagawa M, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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