2016 Fiscal Year Annual Research Report
学童のアトピー性皮膚炎発症へのFLG遺伝子変異と環境化学物質曝露によ る影響解明
Project/Area Number |
15H04780
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 准教授 (00619885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 弘幸 北海道立衛生研究所, 生活科学部, 主幹 (10414286)
乃村 俊史 北海道大学, 大学病院, 講師 (50399911)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 環境 / 衛生 / 遺伝子 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では北海道スタディ大規模出生コホートを利用する。7歳児のISAAC調査票を用いて喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻結膜炎のいずれかがあるケース221人と、男女比をマッチさせたコントロール221人を抽出し、尿中酸化ストレスマーカー8OHdGをELISA法で分析した。尿中クレアチニン値で補正した8OH-dGの平均±標準偏差はケース9.38±2.73、コントロール9.29±2.68で有意差はなかった。しかし、アトピー性皮膚炎のみをケースとした場合はコントロールよりも高い傾向が見られた(p=0.088)。FLG変異の有無で8OH-dGに差はなかった。既に測定済みのダスト中のフタル酸エステル類6化合物、リン系難燃剤6化合物、酸化剤BHT、共力剤S-421、およびダニアレルゲンDer1と8OH-dG濃度に相関はなかった。 MBzP、MEOHP、MEHP、MiNPのMS条件を決定した。濃度0-20 ng/mLでR2=0.987(MEHP)以上の良好な検量線が得られた。しかし、MiNP, MEHPのクロマトグラムに二峰性の形状が見られるなど、LC条件についてさらなる検討が必要である。 DEHPとその代謝物MEHPの免疫系細胞に及ぼす影響を調べるため、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。ヒトマクロファージ様細胞株THP-1にDEHPあるいはMEHPの各0.03mMを24時間曝露し、それぞれの細胞からRNAを抽出した。約4万個の遺伝子発現を調べた結果、DEHPあるいはMEHP曝露で上昇あるいは抑制された遺伝子約800個をそれぞれ見出した。それらの中にはサイトカインやIgEレセプターなどアトピーに関連する遺伝子も含まれていた。両化合物による遺伝子発現はそれぞれ異なるパターンを示しており、昨年度報告した核内受容体への作用の違いを反映している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用する分析機器の導入時期が予定よりも遅れたため、尿中フタル酸エステル類代謝物の分析がやや遅れている。また、分析条件検討において、カラム圧が予想以上に高くなるなど、条件設定に時間がかかっているが、平成29年度中には分析を実施できる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
フタル酸エステル類の尿中代謝物の分析:DEHP代謝物3化合物(MEHP, MEHOP, MEHHP)、DiNP代謝物3化合物(MiNP, cx-MiNP, oxo-MiNP)、DnBP(MiBP), DiBP(MiBP)、BBzP(MBzP)の代謝物それぞれ1化合物の合計9化合物について、固相抽出を用いた前処理法を確立する。尿資料にラベル体サロゲート混合物を添加し、βグルクロニダーゼで抱合体を切断する。固相カラムで抽出後、溶出し、分析用資料とする。LCMSMSの分析条件については、残りの5化合物を加えて、流速及びグラジエント条件の確定、それぞれのMS条件を確定し、検量線作成、定量下限値の確認、回収率と変動率を評価する。分析条件確率後、実試料中のフタル酸エステル類代謝物濃度を分析する。ISAAC調査票を用いて定義したケースとコントロールについて、収集済みの尿を用いる。尿中代謝物濃度について、ダスト中フタル酸エステル類、およびアトピー性皮膚炎および酸化ストレスマーカー8OH-dGへの影響について、FLG変異による影響の相違も含めてリスク評価を行う。 フタル酸エステル類曝露による免疫系への影響in vitro実験:昨年度は、ヒトマクロファージ様細胞株THP-1にDEHP及びMEHPを曝露し、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った結果、約800個の変動遺伝子を見出した。今年度はこの中から、アトピー性皮膚炎に関連する可能性がある遺伝子(サイトカインやIgEレセプターなど)約10個に焦点を当て、RT-PCR法により発現変動の詳細を明らかにする。これらの遺伝子が投与マウスでも変動するか否かin vivoでの影響を確認する。以上の研究により、DEHP(MEHP)曝露マーカーの探索を試みる。
|
Research Products
(31 results)
-
-
[Journal Article] 肝細胞肥大の毒性学的特徴の解明に向けた農薬のラット反復投与毒性試験結果のデータベース構築2017
Author(s)
増田茜,増田雅美,川野拓歩,橘内陽子,中山晴香,中島宏之,小島弘幸,北村繁幸,浦丸直人,保坂卓臣,佐々木崇光,吉成浩一
-
Journal Title
薬学雑誌
Volume: -
Pages: In press
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Activation of nuclear receptor CAR by an environmental pollutant perfluorooctanoic acid.2017
Author(s)
Taiki Abe, Mirei Takahashi, Makoto Kano, Yuto Amaike, Chizuru Ishii, Kazuhiro Maeda, Yuki Kudo, Toru Morishita, Takuomi Hosaka, Takamitsu Sasaki, Susumu Kodama, Atsushi Matsuzawa, Hiroyuki Kojima, Kouichi Yoshinari
-
Journal Title
Arch. Toxicol
Volume: -
Pages: In press
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Effects of prenatal exposure to perfluoroalkyl acids on prevalence ofallergic diseases among 4-year-old children2016
Author(s)
Goudarzi H., Miyashita C., Okada E., Kashino I., Kobayashi S., Chen C. J., Ito S., Araki A., Matsuura H., Ito Y. M., Kishi R.
-
Journal Title
Environ Int
Volume: 94
Pages: 124-132
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Exposure to phthalates in house dust and associated allergies in children aged 6-12years2016
Author(s)
Ait Bamai, Y., Araki, A., Kawai, T., Tsuboi, T., Saito, I., Yoshioka, E., Cong, S., Kishi, R.
-
Journal Title
Environ Int
Volume: 96
Pages: 16-23
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
[Journal Article] Metabolism of methiocarb and carbaryl by rat and human livers and plasma, and effect on their PXR, CAR and PPARα activities2016
Author(s)
Chieri Fujino, Yuki Tamura, Satoko Tange, Hiroyuki Nakajima, Seigo Sanoh, Yoko Watanabe, Naoto Uramaru, Hiroyuki Kojima, Kouichi Yoshinari, Shigeru Ohta, Shigeyuki Kitamura
-
Journal Title
J. Toxicol. Sci.
Volume: 41
Pages: 677-691
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Effects of prenatal exposure to perfluoroalkyl acids on risk of allergic and infections diseases in early life2016
Author(s)
Goudarzi H., Miyashita C., Okada E., Kashino I., Kobayashi S., Chen C.-J., Ito S., Araki A., Matsuura H., Kishi R.
Organizer
ISEE2016: 28th Annual Conference International Society for Environmental Epidemiology
Place of Presentation
Auditorium Parco della Musica, Roma, Italy
Year and Date
2016-09-01 – 2016-09-04
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-