2016 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝炎の新たな予防戦略:血圧と栄養管理の重要性に関する研究
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15H04788
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 晃 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)
山ノ下 理 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924) [Withdrawn]
内藤 久雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90547556)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NASH / 血圧 / ヒドララジン / 高脂肪-高コレステロール食 / 線維化 / TNFα / 線維症 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)を4群に分け、対照群、降圧剤のヒドララジン群、ヒドララジンに高脂肪-高コレステロール食(HFC食)介入群(以下ヒドララジン介入群とする)およびHFC食群とした。16週齢で全群解剖し、血液と肝臓を採取した。血液は血清を分離し、肝臓は一部を病理用にホルマリン固定した残りを、それぞれ-80℃で実験まで保存した。ヒドララジンはHFC投与にかかわらず血圧を20%程度低下させた。ヒドララジン介入はHFC食による血清TNFαを有意に抑制したが、TGFβ値には影響を与えなかった。肝/体重比の増加や血清コレステロール値、ASTやALT,γGTP 値の上昇も抑制した。病理的にはHFC食による脂質の蓄積と線維化の上昇を抑制した。HFCによる肝臓の線維性コラーゲン遺伝子(Col1a1)発現を明らかに抑制し、線維芽細胞に含まれるα平滑筋アクチン(αSMA)を抑制傾向にあった。HFC介入による胆汁酸合成(CYP7A1, CYP27A1,CYP8B1, CYP7B1のmRNA)・排泄(血中排泄のMRP3と胆管排泄のBSEPmRNA)・解毒(UGTとSULTのアイソザイムmRNA)にかかわる酵素やプロモーターの変化には影響を与えなかった。UGT2B7mRNAに関しては例外で、ヒドララジン介入はHFC食による低下を抑制していた。このアイソフォームは胆汁酸の解毒に関与しているので、今後UGT活性を測定して、ヒドララジンの胆汁酸解毒作用について考察する予定である。以上の結果は、血圧がNASH進展にかかわっていること、また、降圧剤介入はNASH予防に寄与すること、ヒドララジンの作用機序としてはTNFα下流の炎症シグナルに作用することが想定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血圧を下げることがNASHの発症・進展を予防することを証明した。降圧剤としては、末梢血管拡張剤のヒドララジンが有効であった。降圧剤のメカニズムとして、TNFαを介した炎症シグナル伝達系にヒドララジンが作用し、NASH発症や進展予防することが明らかとなった。したがってHFC食と降圧剤介入のNASH発症・進展の相互作用のメカニズムを明らかにするという初期の目的は達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究で、降圧剤ヒドララジン介入はTNFα系の炎症を抑制して、NASH発症・進展を予防することが明らかとなった。ヒドララジンは血管平滑筋に作用し、末梢血管拡張作用があるので、末梢循環を改善すると考えられる。そこで、29年度の研究は凍結保存してある血清と肝臓を用いて、TNFαの下流系を解析して、降圧剤ヒドララジンのNASH予防作用のメカニズムを解析する。具体的には、 1)TNFα-IKBα(あるいはMAPK)-NF-kB(炎症)系への作用メカニズム 2)酸化ストレス-nrf2・Keap1-HO-1系(炎症)系への作用メカニズム 3)胆汁酸解毒酵素活性を測定し、HFC食によるUGT2B7mRNA発現低下の改善との関連性を明らかにする。 4)NASH発症・進展へのHFC食と降圧剤の相互作用のメカニズムの論文を作成する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Importance of detoxifying enzymes in differentiating fibrotic development between SHRSP5/Dmcr and SHRSP rats.2016
Author(s)
Naito H , Xiaofang Jia, Husna Yetti, Yanagiba Y, Tamada H, Kitamori K, Hayashi Y, Dong Wang, Kato M, Ishii A, Nakajima T.
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Journal Title
Environ health Prev Med
Volume: 21
Pages: 368-381
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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