2016 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期及び出生後早期の大気汚染曝露が小児のアレルギー発症に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
15H04790
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 成人 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10561772)
余田 佳子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80748434)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大気汚染 / 粒子状物質 / エンドトキシン / 気道炎症 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫県尼崎市において実施している「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者の一部に同意を得て、子どもが3歳時点で家庭を訪問し、環境測定と母親の気道炎症評価を実施した。環境測定は、対象者の家屋の内外にミニポンプを設置し、1週間にわたって粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)と粒径2.5~10μmの粗大粒子(PM10-2.5)に分けて吸引捕集した。得られた粒子中のエンドトキシン量は、Limulus Amoebocyte Lysate Kinetic chromogenic assay(リムルス法)によって分析した。母親の気道炎症評価 では、最大吸気から一定の呼気圧で呼出してもらい、NO Braeth(Bedfont社製)で呼気中一酸化窒素(FeNO)濃度を測定した。平成28年度は158世帯の環境測定を実施し、そのうち156人のFeNO濃度を測定した。家屋内のエンドトキシン濃度の平均±標準偏差は、PM2. 5中は0.34±0.27EU/m3、PM10-2.5中は0.49±0.60EU/m3であり、家屋外ではそれぞれ0.23±0.25EU/m3、0.20±0.16EU/m3であった。家屋内のPM2.5、PM10-2.5中のエンドトキシン濃度は、それぞれ家屋外の1.5倍、2.5倍と高かった。母親のFeNO濃度の幾何平均±幾何 標準偏差は10.7±2.8ppbであり、8人(5.1%)は50 ppb以上と高く、気管支喘息が疑われた。 家屋内PM2.5中エンドトキシンが75%値(0.41EU/m3)以上のもののFeNO値は11.7±2.4ppb、75%値未満のものは10.3±2.8ppbであり、家屋外PM2.5中エンドトキシンが75%値(0.25EU/m3)以上のFeNO値は12.3±2.4ppb、75%値未満のものは10.0±2.9ppbであり、いずれもエンドトキシンが高値のものは低値の者よりもやや高かったが、有意ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
環境測定と母親の気道炎症の評価は概ね順調に進展している。しかし、全国調査であるエコチル調査におけるデータの確定作業が当初の予定よりも遅れているため、子どものアレルギーと環境との関連性の評価が十分にできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は前年度に引き続き、残りの対象者の家庭を訪問して環境測定調査と気道炎症の評価を進める。最終年度であることから、平成27年度以降の3年間の調査で得られた結果と、エコチル調査で収集されている情報を用いて、大気汚染物質及び環境中のエンドトキシンへの曝露が小児のアレルゲン感作・アレルギー疾患の発症に与える影響を評価する予定である。
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Research Products
(7 results)