2015 Fiscal Year Annual Research Report
高精度日本人ゲノム参照パネルに基づいた日本人炎症性腸疾患感受性遺伝子の高密度解析
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15H04805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 洋一 東北大学, 大学病院, 助教 (50509205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 喜孝 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20250780)
黒羽 正剛 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (70709469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疾患感受性遺伝子 / 炎症性腸疾患 / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)からなる炎症性腸疾患(IBD)の遺伝背景は、欧米でのアレイによるゲノムワイド相関解析(GWAS)によって多くの感受性遺伝子が同定された。一方、従来型GWASの問題点も明らかになった。高密度多型解析は、この従来型GWASの問題点を解決する手法として実践され、欧米人感受性多型は一気に200か所を超えて解明された。このような高密度解析には詳細な多型地図を参照する必要があるが、これまで日本人の高精度の多型地図が存在せず、日本人IBDの感受性遺伝子解析は従来型GWASの結果のまま停滞していたが、2014年に高精度の東北人ゲノムリファレンスデータ(1KJPN)が作成されたことで、日本人での高密度多型解析が可能となった。そこで、この1KJPNのデータをもとに作成された、カスタムジェノタイピングアレイを使用し、日本人のIBDの遺伝因子解析を開始した。 今年度まず800人の患者DNAの解析と、1000人の健常人データを比較し、多数の日本人IBD感受性遺伝子候補領域が抽出された。さらにその確認用アレイ(JIBDアレイ)を設計して使用する予定であったが、実際に設計を行ってみると、当初から使用しているカスタムアレイの精度で十分な精度の解析が可能で、新たにJIBDカスタムアレイを作成するよりも安価に網羅的な解析が可能なことから、当初の予定よりも前倒しし、追加の600検体でアレイ解析データを得て、解析を行う準備が開始された。 本研究で得られているデータは、多くの日本人固有の多型を含み、一時解析の結果ですでに多人種では認められていない感受性遺伝子候補が発見されていることから、今後の解析によって、日本からIBDの新たな病因が解明される可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では平成27年度中に第一次検討として、日本人用カスタムアレイによるタイピングを行い、平成28年度にそのデータ解析と第二次検討として追加検体を用いた詳細な解析を行う予定であった。現在、平成27年度に予定されていた内容に加え、平成28年度予定の二次検討のアレイデータの取得まで終了している。ただし、二次検討分のデータは、アレイデータの取得までであり、これからの解析が必要であるが、一次解析ですでに興味深い新規感受性候補領域が複数発見されていることから、様々な臨床データをベースに多方面からの解析が可能となっている。以上より、本研究は当初計画の目的達成に向けて、おおむね順調に進展をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は予定通り、追加検体で得られたデータから、第二次検討の解析を開始する。解析結果から得られた候補領域、候補多型については、TaqManなどによる直接タイピング法による解析で確認を行う。平成29年度には多方面の臨床データや、臨床診療上問題となる病態や治療などと遺伝子との解析を加えることで、単なる疾患感受性遺伝子だけではなく、疾患の分類や、疾患を修飾する因子の解明も進めていき、当初の研究計画の目的を達成していく。
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Research Products
(1 results)