2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア分解を起点とした恒常性維持システムの解析と心不全治療への応用
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15H04822
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大津 欣也 大阪大学, 未来戦略機構, 招へい教授 (20294051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦惣 俊吾 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30423164)
山口 修 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90467580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / ミトコンドリア / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全症例では心筋細胞内のミトコンドリア形態異常を伴うことが多いが、その制御機構については不明な点が多い。本研究では、新たに見いだしたミトコンドリアfissionおよびmitophagy誘導因子であるBcl関連蛋白質の解析を端緒として、マイトファジーを起点としたミトコンドリア恒常性維持システムの多面的解析を通して、心不全治療への応用を目指した基礎的検討を行う。心疾患におけるミトコンドリア形態異常の分子機構を解明することで、新たな心不全治療分子標的の探索を目指している。 本年度は酵母Atg32のほ乳類における機能的ホモログとして同定したBCL2L13の心筋細胞における評価を行った。新生仔ラット単離心筋細胞においても継代培養細胞と同様にBcl2-L-13の過剰発現によりミトコンドリアのfragmentationが誘導され、Bcl2-L-13のノックダウンによりミトコンドリアの伸長が観察された。この結果よりBcl2-L-13は心筋細胞においてもミトコンドリアダイナミクスに重要な役割を果たすことが示唆された。引き続き、Bcl2-L-13の過剰発現及びknockdown下において、酸化ストレスやGPCRアゴニストなど種々のストレスに対する心筋細胞の応答性変化について検討を行う。さらに心臓組織におけるBCL2L13の生理学的および病態的意義を評価するために、Cre-loxPシステムを用いた心筋特異的遺伝子改変動物の作出を行った。targeting vectorを作製し、相同組み換え体のES細胞をスクリーニングし、ES細胞クローンのインジェクションにより、floxed alleleを持つマウスを得た。本マウスを心筋特異的Creリコンビナーゼ発現マウスと交配し、目的の遺伝子改変マウスを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵母Atg32のほ乳類における機能的ホモログとして同定したBCL2L13は、ミトコンドリア分裂を誘導するとともにマイトファジーレセプターとして機能する。この分子機構がマウス心筋細胞においてどのような生理的機能および病態モデルにおける機能を評価するため、心筋細胞特異的遺伝子改変マウスの作出ならびに解析を開始しており、現在評価が順調に進行している。さらに心筋特異的fission抑制遺伝子改変マウスについても、薬剤誘導性を含めた2系統を作成済みであり、順次解析を開始する体制が整っている。以上よりおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点までで、ミトコンドリア分裂融合ならびにマイトファジーに資する重要な分子の同定に成功しており、今後は上記分子およびミトコンドリアダイナミクスに関与する分子の遺伝子改変動物を用いて、これらの現象が心臓において果たしている生理的および病態的意義についての解析を順次進めていく。その過程において、心不全治療についての鍵分子となる創薬分子標的を確定する方針である。
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Research Products
(4 results)