2017 Fiscal Year Annual Research Report
Protein complex analysis of transcriptional factor KLF, and development of a low molecular weight compound that inhibits KLF5 transcriptional activity.
Project/Area Number |
15H04824
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
永井 良三 自治医科大学, 医学部, 学長 (60207975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
仲矢 丈雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (80512277)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | KLF5 / 心血管リモデリング / 蛋白間相互作用阻害薬 / 心不全 / 分子創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、動脈硬化を促進する血管平滑筋の胎児型ミオシンの転写誘導に重要な転写因子としてKLF5を同定した。その後、KLF5が心不全、動脈硬化、肥満、癌などの炎症性病態において重要な役割を果たすことを分子レベルで長年にわたり解明してきた。これらの検討からKLF5阻害薬が心血管系疾患、癌等の治療に有効であると期待された。しかし、KLF5は明確な立体構造をとらない天然変性蛋白であるため、立体構造に基づく阻害薬開発は困難であった。 そこで、我々は、上記の困難を独自の方法で克服し、KLF5の蛋白間相互作用を阻害すると予想される低分子化合物(NC化合物)を新たに分子設計し合成した。本研究費により解析を進めたところ、今回、NC化合物がKLF5阻害薬として機能することを見出した。NC化合物は、1)in vitroでは、正常大腸細胞を傷害せずに大腸癌細胞の増殖を抑制するだけでなく、合成型平滑筋細胞の増殖も抑制する、2)in vivoでは皮下に移植した腫瘍(腺癌)の増殖を抑制するとともに、大動脈縮窄による心不全を改善した。すなわちKLF5阻害薬であるNC化合物は抗癌剤としてのみならず、心血管リモデリングの関与する循環器疾患に対する新たな薬剤として期待できることを明らかにした。 NC化合物の詳細な作用機序は現在検討中だが、KLF5の分解亢進、Wnt-βカテニン系の抑制、キナーゼXに対する阻害などが判明している。とくにキナーゼXはKLF5蛋白を修飾することが知られているため、今後、KLF5とキナーゼXが結合するか、NC化合物が両者の結合を阻害するかを解明する予定である。 多くの疾患原因因子阻害薬が、強い副作用により開発を断念せざるを得ない。一方、NC化合物はKLF5の病態促進機能を選択的に抑制し、正常機能抑制は少ないデータが得られている。NC化合物の開発法は、これからの創薬の新しい方向性を示したといえる。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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