2016 Fiscal Year Annual Research Report
Seed & Soilモデルに基づく多発性筋炎・皮膚筋炎の病態解明と治療法開発
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15H04863
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上阪 等 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00251554)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性筋炎(PM)・皮膚筋炎(DM)は炎症性筋疾患であり、予後に関連する間質性肺炎(IP)の合併は重要である。PM/DMではT細胞・B細胞標的治療の有効性が報告されているが、病態に関わる詳細なリンパ球サブセットは不明であるため、末梢血単核球(PBMC)サブセットの解析を試み、免疫状態の評価は病態の理解や新規治療の開発につながる結果を期待した。PM/DM患者17例では健常者(HD)18例と比較して、T細胞中のnai;ve CD4 T細胞の増加、effector memory CD4 T(CD4 TEM)細胞、naïve CD8 T細胞、central memory CD8 T(CD8 TCM)細胞の減少、CD4 T細胞中のTh1細胞の減少、B細胞中のnaïve B(nB)細胞の増加とmemory B(mB)細胞の減少が認めた。IP合併群、非合併群とHD群間の比較では、HD群と比較してIP合併群でT細胞中のnaive CD4 T細胞の増加、CD4 TEM、naïve CD8 T細胞、CD8 TCM細胞の減少、B細胞中のnB細胞の増加、mB細胞の減少を認めた。治療後にB細胞数中のnB細胞がHD群と同等まで減少し、mB細胞はHD群と同等まで増加した。以上のように、PM/DMにおけるCD4 TEM、CD8 TCM、mB細胞の減少はIP合併群で顕著であった。PM/DMではリンパ球の分化や生存に関わる経路の異常やこれらの細胞が傷害組織へ浸潤していると考えられ、その是正が治療に有用と考えられた。 また、血清Jo-1分子量は患者群での上昇はなく、抗Jo-1単クローン性抗体によるPMモデルマウスの治療も奏功しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数プロジェクトを同時進行させ、末梢リンパ球レパトワ解析で有意義な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1)運動による活性化の解析:マウスに様々な強度の運動負荷を与えて筋組織変化を観察する。運動の種類は、免荷(尾部懸垂)、無運動(ギプス固定)、ケージ内自由運動、トレッドミル強制走行の4 群とする。各群マウスにCIM を発症させて筋組織を観察する。筋炎の悪化を招いた運動については、運動前後の筋組織の病理学的、免疫組織学的解析、発現遺伝子の解析を行う。 活性化にかかわる候補分子については、特異的抗体や低分子阻害薬をレシピエントに投与して、その機能を阻害した上でT細胞養子移入実験を行い、筋炎を評価して機能意義を明らかにする。 2) 局所マクロファージによる活性化の解析:CIMマウスの発症前(C タンパク免疫前)、発症期(免疫後7 日)炎症極期(同14-21 日)回復期(同35-42 日)で筋組織を採取し、コラゲナーゼ、処理により筋肉マクロファージを得る。得られたマクロファージにおける代表的なMl 、M2マーカー発現をフローサイトメトリで解析する。各病期でドミナントなサブセットをフローサイトメータで分取し、筋組織自然免疫活性化により炎症遷延化を促しうる分子や筋修復を促す分子について、その遺伝子とタンパクの発現を解析し、各病期におけるマクロファージ群の表現型/機能相闘を明らかにする。 3) ヒト筋炎筋組織の解析:以上の実験で見出された機能分子の異常発現をヒト筋組織で評価して、治療標的としての妥当性を検証する。
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Research Products
(2 results)