2016 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌の主要なカルバペネム耐性機構、IMP-1に着目した研究
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15H04868
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒川 宜親 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10212622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタロベータラクタマーゼ / IMP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類は様々な多剤耐性病原細菌の出現と世界的な蔓延という困難な事態に直面している。この問題は感染症学、微生物学、細菌学という学問領域で最も緊急かつ早急に克服すべき重要問題の一つとなっている。1990年代には切り札的な抗菌薬とされているカルバペネムを含む多剤に耐性を獲得した緑膿菌やアシネトバクターなどのグラム陰性桿菌が世界的に蔓延し始めた。また、2000年代に入ると、ヒト腸管の常在菌的な肺炎桿菌や大腸菌などの腸内細菌科の菌種においてもカルバペネム系抗菌薬耐性株が出現し、医療環境で広がるのみならず食用家畜や食品、さらに河川水や野生動物などからも分離されるという憂慮すべき事態が出現している。カルバペネム耐性機構の最も主要なものは、カルバペネムを分解するメタロベータラクタマーゼを細菌が産生するようになったことである。申請者らは、世界で最初にヒト病原細菌からプラスミドにコードされたメタロベータラクタマーゼを発見しIMP-1と命名した。その後、IMP-1産生菌を簡便に検出できるディスク拡散法の開発など、関連する先駆的な論文を1990年代の前半に、数々報告し、世界のメタロベータラクタマーゼ研究をリードしてきた。申請者は、これまでの研究実績を踏まえ、本研究課題では、人体に投与可能なIMP-1阻害薬開発に向けた研究を推進している。これまでに化合物スクリーニングにより、複数のIMP-1阻害薬候補分子を同定した。その特異性を検証するため、種々のベータラクタマーゼを、順次、精製しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな問題なく、順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に進展しているため、これまで通り、研究を推進していく。
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