2016 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた新規胸腺再生法の確立とアロ移植拒絶ならびに免疫学的病態への応用
Project/Area Number |
15H04915
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清野 研一郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20312845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 はるか 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (70392181)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 胸腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
咽頭内胚葉誘導条件を検討する中で、RA(レチノイン酸)濃度を高くすることでHoxa3の発現が高度に誘導され、反対にPax1、Pax9の発現が抑制される事が分かった。これらの転写因子は胸腺発生においてHox→Eya→Six→Pax cascadeを形成し、胸腺発生に寄与している。胸腺上皮細胞への最終分化条件において、RAを高濃度から徐々に低濃度へ移行させるプロトコルを構築した。このプロトコルを元に、Foxn1プロモーター下流にGFPを導入したレポーターES細胞を用いて分化誘導を行った結果、GFP陽性細胞を得ることに成功した。しかしながら現在までのところ分化誘導効率が低く、今後の効率改善が必要である。 一方、Foxn1は胸腺上皮細胞への強力な分化方向付けを行うことが知られていることから、この転写因子の発現を発現ベクター等により人為的に誘導し、分化誘導系へ応用することを考案した。予備実験としてRetrovirusを用いてマウス線維芽細胞へFoxn1を強制発現させた。ウイルス感染後のフローサイトメトリー解析により、感染後20日程度でEpCAMおよびDll4の発現が誘導される事が分かった。この結果から、Foxn1の胸腺上皮様フェノタイプ獲得への寄与を期待し、分化誘導した細胞においてconditionalにFoxn1発現を誘導するためTet-On Foxn1 expression Lentivirus を作製した。このLentivirusを用いて遺伝子導入したマウス線維芽細胞株において、Doxycyclineの添加に依存してFoxn1タンパク質が発現することを確認した。 上記と並行し、移植する機能細胞としてのインスリン産生細胞の分化誘導を行った。これまでに膵臓分化のマーカー転写因子であるPdx1のプロモーター活性化によりGFPを発現するES細胞を用い、GFP陽性細胞を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化誘導効率がひくいものの胸腺上皮細胞様の細胞の分化は成功している。強制的遺伝子発現の系もポジティブな結果を得ており、概ね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は作製したLentivirusをiPS細胞へ感染させ、Conditional Foxn1発現細胞株を樹立し分化誘導へ応用することで、効率改善の一手段とすることを検討している。 また今後、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルにおいて、免疫寛容の評価に用いる予定である。
|