2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規情報伝達因子エクソソームによる変形性関節症治療と診断への展開とその機能解析
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15H04959
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 正和 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 助教 (60372158)
加藤 義雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (20415657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 変形性関節症 / エクソソーム / マイクロRNA / 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、1. OAモデルマウスに対してmiRNAを含むエクソソームの関節内投与によるOA治療効果の検討 および 2.各細胞培養液よりエクソソーム中に含むmiRNAのプロファイルを網羅的に解析 3.OA由来エクソソームの性質を糖鎖に注目した解析の一部を実施した。OA自然発症モデルマウスへの目的miRNAを過剰導入したエクソソーム投与による効果を検討した。OA自然発症マウスの3, 4, 6, 7.5ヶ月齢の両膝関節を組織学的に観察した結果、特に内側に4ヶ月齢から軽微なOA様変化が観察され、6, 7.5ヶ月齢と加齢と共に軟骨破壊を伴う重篤なOAを発症していた。この5ヶ月齢マウスへエクソソーム-miR-140、エクソソーム-Control miRNA、PBSの膝関節内投与によるOA抑制効果を検討した結果、エクソソーム-Control miRNAやPBSに比べてエクソソーム-miR-140投与群は、有意にOA抑制効果を示した。また、間葉系幹細胞、軟骨細胞(正常とOA)、滑膜細胞(正常とOA)およびそれら細胞由来のエクソソーム中におけるmiRNAプロファイルと細胞およびエクソソーム表面の糖鎖解析を行った結果、細胞種および正常と疾患由来で顕著な違いがmiRNAや糖鎖で認められた。これら一連の研究結果は、本研究目的であるmiRNAを含むエクソソームを利用した新たなOA治療法や診断マーカーの可能性を明らかにすることやエクソソーム表面の糖鎖解析を通じて由来細胞および疾患特異的なエクソソームの同定・濃縮を試みることでエクソソームの機能をより明らかにする上でその可能性を示唆するデータであった。それゆえ、今後の研究によって新たなOA発症ネットワーク機構や診断法・治療法を提唱できると期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的miRNAを過剰導入したエクソソーム投与によるOA抑制効果の解析も計画通りに進行している。現在N数を増やし更なる検討を行っている。また、エクソソーム中のmiRNAのプロファイリングや糖鎖解析についても基礎的なデータの取得に成功していることから全体として概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画課題1. OAモデルマウスに対してmiRNAを含むエクソソームの関節内投与によるOA治療効果の検討は、計画通りに進行しており今年度で完了できる見込みである。2. miRNAを含むエクソソームに注目したOA診断マーカーの探索および 3. OA由来エクソソームの性質およびその機能の解明 は、本研究を基研究とした国際共同研究強化事業と合わせてヒトサンプルを用いた研究も含めて計画通りに推進していく。
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Research Products
(4 results)