2017 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの慢性化のきっかけとなる脳への細胞分子伝達メカニズムの解明
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15H04968
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中江 文 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (60379170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 雄太郎 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (00528408)
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロファージ / 痛み / 術後遷延痛 / 高解像MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は術後遷延性疼痛モデルを作成し、そのタイムコースに応じてサイトカインがどのように変動するかの分析を行った。そのために、ワイルドタイプの動物と、各種KOマウスを使用した。分析したのは、サイトカインとケモカイン約30種で、詳細な解析は、次年度にも継続して行う予定であるが、疼痛行動の減弱しているKOマウスにおける発現パターンと、ワイルドタイプの発現パターンに顕著な違いを認めた。 術後遷延性疼痛モデルの脳内の活動がどのような変化をきたしているかを分析するために、術後遷延性疼痛モデルの術後2日目(急性期)、4週後(慢性期)についてマンガン造影MRIの撮像を行った。その結果、プレリミナリーな解析では、各部位の活動性について有意な差を認めるに至っていないが、その活動パターンについては、2日目、4週間後については手術前に比べて顕著な差を認めた。さらに、鎮痛薬の薬効を見るための実験を行った。鎮痛薬としてはブプレノルフィンを用い、4週後にあたる個体に対し、撮像2日前から12時間おきに4回、15㎎/㎏の投与を行った。疼痛行動の評価を行ったところ、機械刺激に対する疼痛閾値は投与個体と非投与個体の間で有意な差を認めた。疼痛行動評価を行った個体以外を用いて、マンガン造影MRIを撮像したところ、ブプレノルフィン投与個体の脳内活動パターンは手術前の脳内活動パターンに近い傾向を呈した。これらの結果については、明らかに違いを認めているが、次年度に向けてはその定量化を検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳活動で、客観的な痛みの評価につながる知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度行ったサイトカイン、ケモカインの結果と疼痛行動の関係についてさらなる解析を行い、その関与を明らかにする。 脳活動のデータについてはマウスの脳の標準化を行い、標準脳に当てはめた活動パターンを定量的に数値化し、痛みの動物の脳を客観的に数値化する方法を提案する。 これらで学会発表、論文化を進める
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Research Products
(4 results)