2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規糖尿病網膜症モデルマウスの開発と創薬コンセプトの確立
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15H04997
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70191963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 実穂 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00295601)
安川 力 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00324632)
植村 明嘉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30373278)
平野 佳男 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40405163)
吉田 宗徳 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60273447)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / ペリサイト / 炎症 / マクロファージ / VEGF / Angiopoietin-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症の初期病理変化である、毛細血管壁のペリサイト消失は、高血糖モデルマウスでは再現できない。一方、新生仔マウスにおける網膜血管発生では、内皮細胞から分泌されるPDGF-Bが、PDGFRβを発現するペリサイトの集積を促進する。我々は以前、抗PDGFRβ抗体を新生仔マウスに連日投与し、ペリサイトを完全に消失した網膜血管が、糖尿病網膜症と同様の血管異常を呈することを示した(Uemura et al. J Clin Invest. 2002)。 本基盤研究(B)では、新生仔マウスに少量の抗PDGFRβ抗体を単回投与し、部分的かつ一時的にペリサイト集積を阻害しただけで、成体に至るまで網膜血管異常が遷延することを明らかにした。ペリサイト消失を契機とした不可逆的網膜血管異常では、内皮細胞における炎症反応と、それに引き続くマクロファージ浸潤が、VEGFおよびangiopoietin-2(Ang2)を介した悪循環回路を形成し、血管壁のバリア機能を破綻させることが明らかとなった。さらにペリサイト消失網膜においてVEGFとAng2を同時に阻害することにより、血管壁の恒常性を回復させることに成功した(Ogura et al. JCI Insight. 2017)。 これらの結果に加え、ヒト糖尿病網膜症の眼内でもVEGFとAng2の蛋白質発現量が上昇していることから、VEGF/Ang2同時阻害療法の有効性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々のモデルマウスでは、発生途中の網膜血管においてペリサイト集積を阻害するのに対し、ヒト糖尿病網膜症では成熟血管壁からペリサイトが消失する。 ヒト網膜症の病態をより忠実に再現するモデルマウスを確立するため、平成29年度は成体マウス網膜血管のペリサイトにジフテリア毒素を発現させてペリサイトを脱落させ、その後に生ずる病理変化を経時的に観察する。 さらにペリサイト消失と高血糖を組み合わせることにより、網膜血管の形態および機能に及ぼす影響を解析する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Sustained inflammation after pericyte depletion induces irreversible blood-retina barrier breakdown2017
Author(s)
Ogura S, Kurata K, Hattori Y, Takase H, Ishiguro-Oonuma T, Hwang Y, Ahn S, Park I, Ikeda W, Kusuhara S, Fukushima Y, Nara H, Sakai H, Fujiwara T, Matsushita J, Ema M, Hirashima M, Minami T, Shibuya M, Takakura N, Kim P, Miyata T, Ogura Y, Uemura A
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 2
Pages: e90905
DOI
Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant