2016 Fiscal Year Annual Research Report
腸管粘膜免疫とのクロストークによる舌下免疫寛容誘導機構の解明
Project/Area Number |
15H05011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30400261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 免疫寛容 / 舌下免疫 / 腸管免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、舌下免疫寛容が舌下粘膜免疫と腸管粘膜免疫とのクロストークによって誘導されることを明らかにし、臨床応用のための基礎的研究基盤を提示することを目的とする。平成28年度は「舌下免疫寛容誘導にランゲルハンス細胞は関与するか?」について、以下の研究実績を得た。 1)舌・舌下組織をコラゲナーゼと重層扁平上皮を分解可能なトリプシン/EDTA処理により、ランゲルハンス細胞の精製が可能となった。口腔・舌下粘膜重層扁平上皮内にランゲルハンス細胞が存在することが明確となった。2)舌・舌下粘膜の3種の抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞、樹状細胞およびマクロファージ)を精製し制御性T細胞誘導能をin vitroで検討した結果、樹状細胞のみが制御性T細胞を誘導し、ランゲルハンス細胞とマクロファージは誘導しなかった。3)蛍光標識卵白アルブミン(抗原)を舌下に投与し、抗原の動態を調べた結果、舌下と所属リンパ節(顎下リンパ節)のランゲルハンス細胞は抗原の輸送には関与していなかった。4)顎下リンパ節の遊走性のランゲルハンス細胞、樹状細胞およびマクロファージの細胞数は、樹状細胞がランゲルハンス細胞やマクロファージと比較して3倍ほど多かった。また、舌下へ抗原投与16時間後に、顎下リンパ節の遊走性のランゲルハンス細胞、樹状細胞およびマクロファージを精製し制御性T細胞誘導能を検討した結果、ランゲルハンス細胞は制御性T細胞誘導能を有するものの、樹状細胞と比較すると誘導された制御性T細胞数は1/5程度であった。 これらの結果より、舌下免疫寛容誘導に主に樹状細胞が寄与しておりランゲルハンス細胞はあまり関与していない、ことが明らかになった。 さらに、唾液腺の抗原提示細胞を詳細に調べた結果、これまで存在しないとされてきた樹状細胞は実は存在して唾液腺の防御機構に働いていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究実績が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究テーマ「舌下粘膜・顎下リンパ節での制御性T細胞の誘導、腸管へのホーミングと増殖」の研究成果はまだ不十分と判断されるため、さらに研究を遂行する。
2.研究テーマ「治療プロトコルの開発」は最終年度実施予定のテーマであり、完遂を目指す。
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Research Products
(5 results)