2016 Fiscal Year Annual Research Report
口腔機能維持による健康寿命延伸のエビデンスの確立:2000人の6年間コホート研究
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15H05025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (70273696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 泰治 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (10543481)
松田 謙一 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80448109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯学 / 口腔機能 / サルコぺニア / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ.目的 サルコペニアとなっている者では,顎顔面領域の筋肉量,筋力も同様に低下し,咀嚼機能が低下することが考えられる.そこで地域高齢者を対象として,筋肉量・筋力と口腔機能との関連を検討し,特に握力と咀嚼能率との関連に注目して分析した. Ⅱ.方法 対象者は,82-84歳の地域高齢者809名 (男性407名,女性402名)とした.体組成計を使用し筋肉量を,また全身の筋力指標として握力を測定した.次に,口腔内検査を行い,残存歯数を記録した.さらに,口腔機能として,最大咬合力(デンタルプレスケール,ジーシー社),咀嚼能率スコア(検査用グミゼリー,UHA味覚糖社),刺激時唾液分泌速度(SSFR),舌圧(JMS舌圧測定器,ジーシー社),開口量を測定した.統計学的分析には,筋肉量・握力と各口腔機能との関連について検討するために,Spearmanの順位相関係数の検定,ロジスティック回帰分析などを用いた. Ⅲ.結果と考察 残存歯数,最大咬合力,咀嚼能率スコア,舌圧,開口量の平均は,それぞれ14.7本,198N,3.9,27.0kPa,48.8mmであった.筋肉量ならびに握力は,すべての口腔機能 (最大咬合力,咀嚼能率スコア,SSFR,舌圧,開口量)と有意な正の相関関係を認めた.重回帰分析を用いて性別と年齢を調整したところ,握力は最大咬合力,咀嚼能率舌圧,開口量と有意な関連を認め,筋肉量は舌圧とのみ有意な関連を認めた.さらに従属変数を咀嚼能率(下位25% / それ以外)としたロジスティック回帰分析の結果,性別と残存歯数を調整した上でも,最大咬合力,舌圧も加えて,握力は,咀嚼能率と有意な関連が認められた. 本結果より,筋肉量 (Sarcopenia)よりむしろ筋力の低下 (Dynapenia)が,口腔機能維持に重要であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断研究の参加者も予想通りで,データ整理,分析も順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は86歳が調査対象であるが,かなり高齢であるので,参加者の減少が心配である.適宜訪問調査も取り入れたい.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Age and sex differences in the taste sensitivity of young adult, young-old and old-old Japanese2016
Author(s)
Yoshinaka M, Ikebe K, Uota M, Ogawa T, Okada T, Inomata C, Takeshita H, Mihara Y, Gondo Y, Masui Y, Kamide K, Arai Y, Takahashi R, Maeda Y
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Journal Title
Geriatr Gerontol Int
Volume: 16
Pages: 1281-1288
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Association of occlusal force with cognition in independent older Japanese people2016
Author(s)
Takeshita H, Ikebe K, Gondo Y, Inagaki H, Masui Y, Inomata C, Mihara Y, Uota M, Matsuda K, Kamide K, Takahashi R, Arai Y, Maeda Y
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Journal Title
JDR Clinical & Translational Research
Volume: 1
Pages: 69-76
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant