2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属アレルギーの感作機序の解明とそれに基づく戦略的治療法の開発
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15H05028
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (90193432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 恵 徳島大学, 病院, 講師 (40380050)
石丸 直澄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (60314879)
南 憲一 徳島大学, 病院, 医員 (60732914)
水頭 英樹 徳島大学, 病院, 医員 (70732915)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属アレルギー / 樹状細胞 / ケラチノサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
ニッケル(nickel; Ni)で刺激すると樹状細胞(dendritic cell; DC)が活性化することが報告されているが,その最初の過程において, DCが食作用により直接Niを取り込んでいるのか,Niによって変性した何らかのタンパクを取り込んでいるのかはこれまでに明らかにされていなかった.今年度,我々はNiを特異的に染色するNewport greenでDCを染色することによって,Ni刺激後のDCを顕微鏡下で観察した.Niで刺激した後,24時間後までのDC内のNiの動態を経時的に観察したところ,刺激後約3時間でDC内に取り込まれているNiの量はピークを迎え,その後,徐々に減少し,12時間後には消失した.また,Newport greenとDCのマーカーとしてMHC ClassIIで二重染色した後,フローサイトメトリーで動態を解析したところ,同様の結果を得た.この際,Tunel/PI染色で確認したところ,細胞死は観察されなかった. 一方,Niで刺激したケラチノサイト(keratinocyte; KC)で,刺激後のGプロテインの動態を観察したところ,RhoAの活性化を認めた.また,ファロイジンによる細胞骨格染色を行い,刺激後の細胞骨格(アクチン)の変化を詳細に観察すると,ストレスファイバーの形成を認めた.さらに,Ni刺激後のKC上でのMAPキナーゼの動態を解析したところ,ERKとp38の活性化を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞がニッケルを取り込んでいる状況の観察実験が順調に進んだ.一方,組織観察は現在まだ染色の条件検討中である.金属アレルギー発症患者の検体はパラフィン包埋されており,これまでのところ使用している蛍光抗体で明確に染色できていない.本研究では病理検査後の検体を使用し,凍結サンプルを使用することができないため,現状での条件検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
ニッケルを取り込んだ樹状細胞の動態について,活性化マーカーとの二重染色を中心に,より詳細に解析を行う. また,金属アレルギー発症患者の検体粘膜を染色して,浸潤するリンパ球をスクリーニング的に解析する.同時に,in vitroの実験結果をもとに,ケラチノサイト上に発現する分子の発現状況をin vivoで確認する.
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Research Products
(1 results)