2016 Fiscal Year Annual Research Report
骨置換型炭酸アパタイトに適したマクロ連通孔デザインの構築
Project/Area Number |
15H05035
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都留 寛治 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50314654)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 生体材料 / 骨補填材 / 多孔体 / 骨組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
顆粒の連結による多孔体化について、本年度は顆粒間に存在するリン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)を炭酸アパタイト(CO3Ap)に組成変換させる条件を検討した。最初に基礎的な検討としてDCPDディスクをCO3Apディスクに組成変換させる条件を調査した。その結果、80℃の炭酸ナトリウム水溶液で2週間処理すればCO3Ap単一相が得られることが分かった。この際、中間体としてβリン酸三カルシウム(βTCP)が形成されることが分かった。この条件に基づき、DCPDでCO3Ap顆粒を連結した多孔体をCO3Ap単一相の多孔体へと組成変換させることができた。ウサギ脛骨に作製した骨欠損のCO3Ap顆粒連結多孔体による骨組織再建を試みた結果、埋入初期で連通孔内部に骨組織の侵入が観察され、埋入期間が増加するにつれ材料が吸収し、骨組織に置換する様子が観察された。 繊維状気孔形成材による多孔体化について、本年度は石膏-気孔形成材複合体の焼成条件と炭酸アパタイトへの組成変換条件を検討した。石膏-気孔形成材複合体を800℃で5時間焼成すれば無水石膏多孔体が得られ、これを80℃の炭酸ナトリウム水溶液で1週間処理すれば炭酸カルシウムに組成変換できることが分かった。引き続きリン酸ナトリウム水溶液中で処理すれば徐々に炭酸アパタイトへと組成変換されるが、完全に組成変換させるためには120℃以上の水熱処理が必要なことが分かった。この手法で作製した炭酸カルシウム多孔体顆粒および炭酸アパタイト多孔体顆粒を兎頭蓋骨骨欠損部に一ヶ月埋入した結果、連通孔内部への骨組織の侵入が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比べ若干の変更はあるものの、ほぼ当初の計画通り、順調に前駆体の多孔体化と炭酸アパタイトへの組成変換を進めている。動物実験において短期埋入は終了しており、良好な結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
無水石膏の炭酸化によって得られた炭酸カルシウム(カルサイト)は低温で炭酸アパタイトに組成変換し難いため、バテライトやアラゴナイトなど溶解性の高い炭酸カルシウム中間体を経由する手法について検討を行う。得られた炭酸アパタイト多孔体については適宜動物実験を遂行し、連通孔内への骨組織侵入性や多孔体の骨置換性を評価する予定である。
|
Research Products
(10 results)