2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規頭頸部癌分子標的治療薬セツキシマブに対する耐性機構の解明と克服治療薬の開発
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15H05039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小河原 克訓 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (20372360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50236775)
中嶋 大 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50431747)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セツキシマブ耐性 / PLAUR / sh導入 / MTS assay |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、頭頸部癌で唯一保険収載された分子標的薬であるセツキシマブに対する耐性機構を解明し、その耐性メカニズムの阻害薬を同定してセツキシマブの耐性を克服することを目的とする。 本年度、既に独自に樹立したセツキシマブに対する3種類の感受性細胞株と、それを親株として樹立した3種類の耐性細胞株を用いて比較検討を行い、耐性克服薬を同定する計画であり、以下のように実施した。 まず、セツキシマブに対する3種類の感受性細胞株と耐性細胞株の組み合わせを用いてマイクロアレイ解析を行い、感受性株に対して耐性株において特徴的な発現状態を示す遺伝子を検索した。これらの耐性株で特異的発現を示す遺伝子のうち、遺伝子パスウェイ解析を用いて遺伝子ネットワークを構築する遺伝子を絞り込んだ。その結果からEGFRとの関連性が報告されているPLAUR遺伝子を耐性第一候補遺伝子として同定した。 次に、同定したPLAUR遺伝子のshRNAを3種類の耐性細胞株に導入し、形質転換細胞株3種類を樹立した。それらの形質転換細部株における形質転換の程度の評価をreal time PCR法とWestern Blotting法で行い、形質転換細胞株の樹立を確認した。また、この形質転換細胞株におけるセツキシマブの薬剤耐性がどのように変化しているのかをMTS assayで評価を行ったところ、耐性株と比較して形質転換細胞株ではセツキシマブ感受性の優位な改善が認められた。 さらに、文献検索、遺伝子パスウエイ解析ソフトなどを用いて詳細に検討し、耐性メカニズムの阻害薬を検索同定することができた。来年度は、本年度樹立させた形質転換細胞をマウスに移植して、セツキシマブに対する薬剤耐性の変化をin vivoにおいて評価を行う。さらに、マウス移植耐性癌細胞に対して、検索同定した候補薬剤が耐性を克服することができることをin vivoにおいて確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には概ね到達することができた。またこれまでの研究成果は次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に同定した耐性候補遺伝子のshRNA導入を行い、安定的な発現抑制株を樹立することができた。また、この発現抑制株のセツキシマブに対する薬剤耐性の変化をin vitroでMTS assayで評価したところ、セツキシマブ耐性の改善が認められた。さらにセツキシマブ耐性メカニズムの阻害薬剤を同定することができたため、今後はこの候補薬剤を用いてマウス移植耐性癌細胞に対してin vivoで耐性を克服することができるのかを評価していく。いずれも当研究室において蓄積されたデータや、行われてきた実験手法を用いるものであり、スムーズに研究を進めていくことができると考える。
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