2016 Fiscal Year Annual Research Report
サブセット制御による組織修復型マクロファージの大量増幅と組織再生療法への応用
Project/Area Number |
15H05040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 夕子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
稲木 涼子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90632456)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロファージ / 組織形成性サブセット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では創傷治癒に重要な役割を果たすマクロファージに着眼し、マクロファージのサブセット、特に形成期のサブセット動態を標識する遺伝子改変マウスを作成し、in vivoイメージングを用いた長期的な定点観察、および創傷治癒の各過程における遺伝子プロファイルの作成により、創傷治癒の末期に出現する組織形成性マクロファージのサブセットを同定する。さらに、末梢血を由来とする組織形成性サブセットの増幅法を開発し、このサブセットとの共培養による上皮系・間葉系細胞の増殖・分化促進、皮膚欠損モデル動物における組織形成性サブセット投与による治癒促進を明らかにする。これらの治験を基に、大量増幅した組織形成性サブセットを創傷部に投与することにより、一般の採血のみで実現する新規な組織修復・再生医療法を原理的に確立する。 平成28年度は、これまでに得られた知見を基に、マウス末梢血から得られた単球分画に由来する組織形成性サブセットの増幅法の確立を行った。C57BL6/Jの下大静脈から採血を行い、Ficoll-Paqueを用いて単核球を分離した後、培養皿に播種し、M-CSFやインスリンを添加した培地で培養したのち、高濃度ヒアルロン酸存在下で培養することで、組織形成性サブセットマクロファージの大量増幅を試みた。フローサイトメトリーで計測したところ、dectin-1 (-)/VEGF(+)を示す細胞の割合が増加していた。これは創傷治癒性M2マクロファージの中でも、M2dとされる組織形成性サブセットの特徴と合致した。 また、マクロファージと脂肪組織由来間葉系幹細胞との共培養を行い、炎症性サイトカインTNF-αの減少と抗炎症性サイトカインIL-10の増加を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の鍵となる、組織形成性サブセットの増幅法が確立でき、翌年度の動物実験へとつなげることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス皮膚欠損モデルにおける組織形成性サブセット投与による治癒促進の検討 マウス末梢血から大量増幅された組織形成性サブセットを、マウス配布皮膚欠損モデルに投与し、組織修復効果を評価する。投与した細胞の追跡を可能とするため、C57BL/6Jの遺伝子背景を持つEGFPトランスジェニックマウス(青色光励起下にて、全身の細胞が緑色蛍光を発する)から、組織形成性サブセットを大量増幅する。C57BL/6Jマウスの背部皮膚を剃毛、消毒後、生検トレパンにより皮膚欠損を左右2か所作製する。左側の総部にはvehicleのみを、右側にはvehicleと混和した組織形成性サブセットを投与する。 創部は、2日おきに14日間写真を撮り、Image Jにより大きさの変化を定量する。また、創部の組織から組織切片を作製し、上皮化の進行を経時的に追跡するとともに、マクロファージ系マーカーであるF4/80、M1マクロファージのマーカーであるTNF-α、IL-6、IL-12、 MIP-1α、M2マクロファージのマーカーであるIL-10、Arginase I、投与細胞を追跡するGFPなどの免疫組織化学および蛍光観察などを行い、組織形成性サブセット投与による治癒促進を詳細に検討する。
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