2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型に応じた機能性ディスペプシアの治療がブラキシズムに及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
15H05051
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (80295807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00404484)
國則 貴玄 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00626666)
井戸 章雄 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30291545)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60583458)
迫口 陽子 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (70754919)
池森 宇泰 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (10755234)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 機能性ディスペプシア / 遺伝子多型 / プロトンポンプ阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、睡眠時ブラキシズムと機能性ディプペプシアの両方に罹患している患者に対して薬物療法等の機能性ディプペプシアの治療を行い、睡眠時ブラキシズムの改善率と遺伝子多型との関連性を明らかにし、睡眠時ブラキシズムのオーダーメイド医療に繋げることを目的とするものである。これに関連し、胃食道逆流症の第一選択薬であるプロトンポンプ阻害剤の投与前後での睡眠時ブラキシズムの変化とその影響を調べることと、睡眠時ブラキシズム患者の上部消化器症状と上部消化管の内視鏡所見を調べることを目的として実験を行った。その結果、プロトンポンプ阻害剤は、睡眠時ブラキシズムの頻度を有意に減少させるが個人差が大きいことを明らかにした。個人差が大きかった原因として、プロトンポンプ阻害剤の代謝速度の個人差や、胆汁、ペプシン、食物、食道の伸展刺激、近位食道への逆流の広がりなどの胃酸以外の因子による影響、歯ぎしり音の日間変動などが報告されており、本実験結果もこれらが影響を及ぼしていることが考えられた。また、本実験の被験者は上部消化器症状を有する者が多かったが、びらん性の逆流性食道炎は認められなかった。主観的な逆流症状と異常な食道粘膜の酸暴露時間の延長を認めるが内視鏡所見で食道粘膜の傷害を認めないものを非びらん性胃食道逆流症といい、この疾患は睡眠障害と有意に関連があるといわれているが、これらの関連を確認するためには症例対照研究を行う必要がある。 今後は、プロトンポンプ阻害剤の種類や投与量の決定、プロトンポンプ阻害剤に対する遺伝子多型の検討、睡眠時ブラキシズムと非びらん性胃食道逆流症との関連性の解明などにより、睡眠時ブラキシズム治療の選択肢としてのプロトンポンプ阻害剤による薬物療法の確立を目指す。このことをまとめた論文が Journal of Dental Research に2016年に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年9月に、以前使用していた機器や解析方法の変更によって、当初の研究方法、被験者の条件設定および検査の順番等について、研究を連携して行う消化器内科との再打ち合わせと研究方法の見直しが生じた。また、その後、平成27年11月に当院の倫理委員会からの指摘を受け、再度研究方法の変更が必要となり、変更した方法に対する打ち合わせと事前準備に時間を要した。また、当初、昨年までに殆どの実験を済ませて、今年は残りの実験ならびに採得したデータの解析と論文執筆を予定していた。しかし、昨年、本研究の理論的根拠となっていた遺伝子多型に関する新たな報告があり、予定していた実験をそのまま実行すると目的としていた知見を得ることが出来なくなる可能性が高いことが分かったため、研究を一時中断して当初の計画と購入予定の物品を見直す必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.FDあるいはSBの自覚症状のある者を一般公募により募集し、FDと診断された者の中でSBと診断された者の割合と、睡眠時ブラキシズム(SB)と診断された者の中でFDと診断された者の割合を調べ、FDとSBの関連性を明らかにする。 2.FDとSBを診断された者に対して、FDに対する生活習慣指導と食事療法を行う。そのうち生活習慣指導と食事療法の治療効果がなかった者を対象として無作為に2群に分け、FDの治療薬として保険適応されている消化管運動改善薬(アコチアミド)あるいは偽薬(プラセボ)を用いて、プラセボ対照二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験を行う。薬剤は、1日3回食前に5日間経口投与する。投薬の順序は、封筒法と置換ブロック法を用いてランダムに決定し、2週間のウォッシュアウト期間を経て行う。投薬後の検査および評価として、問診票を用いた上部消化管症状の調査および睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)によるSBの発現頻度の比較検討を行う。また、遺伝子多型検査によりSLC6A4遺伝子多型の有無を調べ、薬物療法の効果と遺伝子多型との関連性を検討する。 3.プロトンポンプ阻害薬(PPI)とプラセボを用いて上記1と同様の手順で、プラセボ対照二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験を行う。投薬後にPSG検査と問診票を用いた上部消化管症状の調査を行い、SBの発現頻度と上部消化管症状の評価を行う。また、遺伝子多型検査によりCYP2C19遺伝子多型の有無を調べ、PPIを用いた薬物療法によるSBの改善率が、PPIの血中動態や薬効に影響するとされているCYP2C19遺伝子多型の組み合わせによって異なるかどうかの検討を行う。 4.データ解析と特許申請後、その成果を当該分野のトップジャーナルに随時投稿する。
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Research Products
(1 results)