2016 Fiscal Year Annual Research Report
肥満・糖尿病・歯周疾患への遺伝的背景と環境・代謝要因の相互作用に対する包括的解析
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15H05056
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
葭原 明弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50201033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 秀夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00157629)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子多型 / 歯周病 / 生活習慣病 / 腎機能低下 / 唾液量 |
Outline of Annual Research Achievements |
5種類の遺伝子多型(TNFα、IL-6、β3adrenegic receptor、PPARγ、VDR)について測定を行った後分析を開始した。安静時唾液量とβ-3 adrenergic receptor 遺伝子多型の関連を評価した。安静時唾液量の測定はワッテ法を用いた。また、自記式質問紙による精神健康度調査(GHQ30)、生活習慣および服薬についての問診を行った。安静時唾液量は0.12g/30sを基準とし、それ以下を低下ありとした。β3-AR遺伝子型は正常と変異の2群に分けた。 その結果、安静時唾液の低下の有無はβ3-AR遺伝子型と有意に関連していた。また、教育水準、血清LDL、飲酒の有無とも有意に関連していた。目的変数を安静時唾液流量の低下の有無、説明変数をβ3-AR遺伝子型とし、それ以外の関連があった項目を交絡因子として調整した結果、β3-AR遺伝子変異群に対する正常群の安静時唾液流量減少のオッズ比(95%信頼区間)は1.62(1.02-2.60)であることが示された。以上より、β3-AR遺伝子多型は安静時唾液流量と関連があることが示唆された。 さらに、慢性腎機能低下と歯周病との関連を異なった遺伝子多型で評価した。遺伝子多型としてβ3adrenegic receptor、PPARγを用いた。慢性腎機能低下には血清シスタチンC(0.91mg/L未満が腎機能低下)を歯周病にはPISAを評価指標として採用した。慢性腎機能の低下と歯周病との間には、ArgとAla型のアレルを持っていない人で統計学的に有意な関連が認められた(オッズ比:2.52、p=0.035)。さらに、慢性腎機能低下とBMIとの間にはArgとAla型のアレルを持っていない人で統計学的に有意な関連が認められた(オッズ比:1.12、p=0.003)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子多型の測定と伴に分析も開始し、いくつかの知見を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子多型については免疫系の要素が不足していることから新たな項目を追加することも検討している。 分析にあたっては遺伝子多型の相互作用、BMI、喫煙、栄養素の影響を考慮しながら遺伝子多型と歯周病との関連を進めていく予定である。さらに腎機能の低下、肥満との関連についても評価していく予定である。
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