2015 Fiscal Year Annual Research Report
病棟看護師の腰痛予防プログラムの開発と検証~労働環境の改善をめざして
Project/Area Number |
15H05067
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20293821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40311724)
西田 直子 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (80153881)
鈴木 ひとみ 京都学園大学, 健康医療学部, 准教授 (60462008)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 運動器障害 / 看護 / 労働負担 / 腰痛予防対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、病院における看護師の腰痛予防対策の現状を把握することを目的とした意識調査と、介入前の質問紙調査および身体負担調査を実施した。 意識調査は、近畿2府4県にある100床以上の全病院・399か所の看護部代表者宛に質問紙を郵送し、167病院(42%)から回答を得た。安全衛生委員会で腰痛予防対策が「認識されている」のは33%であった。また、看護職員の安全衛生対策として「必要と考えるもの」は、「腰痛」が56%と最も多かったが、「実施しているもの」を問うと、「医療安全」が74%と最も多く、「腰痛」は18%と低かった。人の抱上げ作業で取り組んでいる腰痛予防対策としては、スライディングシート・ボードの使用、複数介助の徹底、適切な移動・移乗介助法の理解・徹底などが上位に挙がったが、リフト等の利用率は低く、腰痛予防体操や腰痛検診はほとんど行われていなかった。 介入前の質問紙調査は、A病院にて12時間夜勤試行中を除く全病棟の看護師349人を対象とし、211人(61%)から回答を得た。「現在腰痛あり」は49%、うち、「ときどき休憩が必要なぐらい痛い」は3%、「休憩をとるほどではないがかなり痛い」は16%であった。また、「過去1か月の腰痛」訴え率は69%(いつも6%+時々63%)であった。 腰痛訴え率の高かった3つの病棟を介入対象とし、各病棟3人ずつを被験者として、日勤時勤務中(8時間および12時間)の歩数と活動量、心拍数、体幹の傾斜角、肩・腰の表面筋電図および勤務前後の自覚症状変化を指標とした身体負担調査を実施した。その結果、対象看護師は1時間あたり1000歩以上歩いており、8時間換算の活動量3Mets以上は約70分、平均心拍数は約100bpm、腰・下腿・足の自覚症状の増加、また休憩が十分に確保できていないなど、看護労働の負担の大きさが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、2か所の病院で介入を計画し、B病院にも研究実施の許可を得ていたが、対象予定病棟の看護師のほぼ全員が腰痛のためコルセットを装着して仕事をしていることがわかった。身体負担調査実施に支障をきたすと判断し、B病院での介入は断念した。引き続き、他の協力病院を探しているところである。 また、2015年の9-10月に介入対象病棟での身体負担調査を実施し、その後、2015年度内に腰痛予防プログラムを導入する計画であったが、A病院看護部との日程調整に時間を要し、負担調査実施が1-3月にずれ込んだ。そのため、腰痛予防プログラムの導入は2016年度前半に行うこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度に実施した9人の病棟看護師を対象とした負担調査について、データ分析を行い、学会発表や論文発表を行う。活動量測定については、必要に応じて追加の調査を行う。 2016年度は、A病院において腰痛予防プログラム導入を開始する。7月頃に腰痛予防研修会と第1回介助技術研修会を開催し、職場における腰痛予防の基本的な考えを説明したうえで、スライディングシートやスライディングボードを使った移動・移乗介助の実習、および介助用リフトのデモを行う。導入開始後4-5か月後を目途に、第2回目の介助技術研修会を開催し、福祉用具の使い方を確認してスキルアップを図る。介助技術研修会の様子はビデオ撮影し、研修用教材として編集する。 2018年度までに計3回の腰痛予防研修会と計5回の介助技術研修会を行い、介入効果を、活動量、心拍数、肩と腰の筋電図、体幹傾斜角および自覚症状の変化などを指標として評価する。対象病院看護部を対象とした結果報告会を実施し、意見交換を行う。また、調査結果は学会発表や論文により公表し、公開可能な成果物はホームページにアップする。 介入対象病院は、日本ノーリフト協会に協力を要請して追加する予定。
|
Research Products
(6 results)