2016 Fiscal Year Annual Research Report
経口分子標的治療のがん患者イニシアチブ皮膚障害予防・管理プログラムの実用性
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15H05081
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 香 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 准教授 (80459247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 浩子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (60158300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / 皮膚障害 / QOL / 適応 / セルフマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子標的治療を受ける患者が主体的に服薬と皮膚障害の重症度とのバランスをとり、安全、最適に治療を継続するためのがん患者イニシアチブ皮膚障害予防・管理プログラムの実用化を試みることが目的である。 平成28年度は、分子標的治療を受けるがん患者の皮膚障害のセルフマネジメントの実態を明らかにすることを目指した。1)切除不能な進行・再発大腸がん患者を対象にした質的研究では、分子標的治療を受ける患者の皮膚障害に関するセルフマネジントの概念化を目的に進めている。2)量的研究では、皮膚障害のあるがん患者のQOLに関する横断研究を実施し、データ収集、分析まで終了した。この研究では、分子標的治療薬に伴う皮膚障害の中でも外見に影響する、顔のざ瘡様皮疹、乾燥、かゆみという症状に焦点化した。対象者はこれらの症状を有する肺がん患者と消化器系がん患者で、QOL(EQ-5D, DLQI)と精神的適応(MAC)の実態と関連性を明らかにした。 解析の結果、患者の年齢はQOLの複数の項目との有意な相関を認め、特に対人関係など社会面に関する複数の項目との相関を認めた。また心理面(不安、抑うつ)との相関も認めた。 皮膚障害のある患者のmental adjustment styleは、fighting spirit, anxious preoccupation, fatalism, helpless/hopeless, avoidanceの順で高かった。DLQI とMACの影響を検定した結果、DLQIのSymptom and feelingとMACのFatalismとの間に有意差を認めた。 以上から、分子標的治療に伴う皮膚障害が患者のQOLに影響し、中でも年齢や心理状態とQOLの社会面に影響することと、mental adjustment styleの特徴を示された。現在、解析を終え、投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子標的治療に伴う皮膚障害(特にざ瘡様皮疹)がある患者を対象にした実態調査を計画したが、現在症状が発現している患者を対象にしたため、患者抽出、リクルートに時間を要した。また、質的研究に関しても同様に対象者の選定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
質的研究については、次年度前半にデータ収集を終了し、投稿を目指す。 今後は、文献レビューと皮膚科医師、腫瘍内科医、がん看護専門看護師、がん化学療法看護認定看護師などの専門家パネルによって推奨するケア、治療の要素を抽出し、構造化を推進する。その結果とこれまでの質的研究、量的研究の結果を統合してがん患者イニシアチブ皮膚障害予防・管理プログラムの開発を推進する。速やかに推進するために研究計画および研究倫理審査の準備を計画的に進める。
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