2016 Fiscal Year Annual Research Report
障がいのある子どもが自然災害に備えセルフケア能力を高めるための支援構築
Project/Area Number |
15H05088
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
加藤 令子 関西医科大学, 医学部, 教授 (70404902)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然災害 / 備え / 子ども / 障がい / セルフケア / シミュレーション / ツール / ソフトウエア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究者がこれまでに開発した、大人が子どもを守るためのツール『特別支援学校用災害シミュレーションパッケージ』と子ども自身が災害に備えるためのツール『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由用‐』の、2つのツールの考え方を基に、様々な障がい(視覚・聴覚・知的)と医療的ケアが必要な子どもが、多様な自然災害から主体的に自分の安全や命が守れるよう、新たなツール開発を行う。 平成28年度は、以下を実施した。 平成27年度に実施したツール開発の調査結果より、開発に必要な内容の抽出を行った。 視覚・聴覚障がい、医療的ケアの子どもを対象に獲得が必要なセルフケア能力とシミュレーション内容調査のため半構成的インタビュー調査を4県の特別支援学校で実施した。協力者は、視覚障がい:本人・保護者・教員各3人、聴覚障がい:本人・保護者・教員各2人、医療的ケア6事例:教員9人、保護者6人、であった。さらに、東日本大震災を経験した肢体不自由で車いすを使用した生活を続けている成人1人にも、障がいのある子どもが災害に備えるために備えることが必要な内容についてインタビュー調査を実施した。 開発するツールの活用を促すため、電子媒体に用いるソフトウエア開発に向け、2県5特別支援学校教員を対象に4回のフォーカスグループインタビューを実施した。また、1県3特別支援学校と共同で、ソフトウエア開発に向けた試作品の開発を行った。 研究者で研究の方向性の確認・情報交換のため、全体会議を2回開催した。これまでに得られた研究成果を国内学術学会5題、国際学術学会1題を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画は、1.平成27年度に実施したツール開発のための調査結果より、開発に必要な内容の抽出、2.視覚・聴覚障がい、医療的ケアの子どもを対象に獲得することが必要なセルフケア能力およびシミュレーション内容の調査、3.ツール活用のためのソフトウエア内容の検討、の3項目であった。 予定した3項目は、ほぼ順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度に実施した調査内容の分析より、様々な障がい(視覚・聴覚・知的)と医療的ケアを必要とする子どもが生活する場で、多様な自然災害に備えるためのツールの開発を行う。ツールは、研究者が過去に開発した大人が子どもを守るためのツール『特別支援学校用災害シミュレーションパッケージ』と、子ども自身が災害に備えるためのツール『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由用‐』の考えを合体させて開発する。開発のため、研究者の全体会議を3回開催予定である。また、開発した新ツールの内容に応じたソフトウエア開発を行う。ソフトウエアは、子どもが生活する場で様々な活用が可能な電子媒体(タブレット端末等)で使用するものとする。開発のため、研究者と2県5特別支援学校教員との合同会議の開催を予定している。これまで開発した情報を国内外の学会等で公開し、また、関連情報の収集を行う。 平成30年度は、開発したツールとソフトウエアの介入調査を実施し、修正後の完成を目指す。また、普及を促すための人材育成プログラムの開発を行う。 平成31年度は、広く情報発信を行うことでツールとソフトウエアの国内普及に努め、また、人材育成プログラムを用いた講習会を開催して、活用者の拡大に努める予定である。 講習会の評価および今後に取り組むべき課題を明確にし、次の研究に繋げる。5年間の研究成果をまとめて、情報公開を行う。
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