2015 Fiscal Year Annual Research Report
PICUの環境と医療者の関わりが両親に及ぼす影響:混合研究法と日米比較による検討
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15H05089
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戈木クレイグヒル 滋子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (10161845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 真也 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (80291285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療者-両親関係 / 小児ICU / 闘病環境 / 日米比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,質的・量的研究を順次的に使用する形の混合研究法と日米比較によって,1) PICUの環境と医療者との関わりを入室中の子どもの両親がどう捉えているのかを明らかにし,3年目からは2)両親の不安・PTSDの経時的変化ならびに,それらに影響を与える要因を明らかにすることを目指している。そこで、本年度は関西の子ども病院でPICUの環境および、入室児の両親と医療者のやりとりを観察したうえで、両親と医療者にインタビューし,データを収集した。結果的に,62場面の観察データと,それを基にした22事例のインタビューデータ(家族6,医師5,看護師11)が収集できた。まだ分析途中であるが,1)子どもがPICUに入院中の両親の闘病環境の評価と,その環境への適応。医師と看護師の関わりはそれにどう影響しているのか。2)医師と看護師の処置の場でのやりとり。とくに,子どもの安静度をゆるめたがらない医師に,看護師がケアを提案する際のやりとり。3)両親への医師の説明が不十分な時に,看護師はどう補完するのか。それが家族に与える影響。 などの現象が抽出されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のように,医療の現場で参加観察データを収集し,患者家族と医療者にインタビューをおこなう研究では,協力施設を得ることが最重要課題である。幸い,本年度は協力施設に恵まれ,順調にデータ収集をおこなうことができた。また,米国との分析結果の比較もスムーズに進み,国際学会で日米差に関するシンポジウムをおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
日本にはまだPICUをもつ施設が41しかない上に,本研究のようにPICUでの参加観察を行うためには,施設の協力を得た上で,倫理審査の許可を得ることが不可欠である。これまでの両親の面会に関する規制が少なかい施設でのデータ収集をおこなったが,分析結果から,面会時間の制限が患児・両親の経験や,医療者と両親の関わりにどう影響するのかを知る必要性があると感じたため,次年度は面会制限が強い施設でのデータ収集を行いたいと考えている。 さらに,3年目からの量的研究に備え,調査尺度と調査項目に関する文献検討を開始する予定である。
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Research Products
(7 results)