2017 Fiscal Year Annual Research Report

精神科外来における患者と家族への包括的看護支援方法の開発

Research Project

Project/Area Number	15H05093
Research Institution	Tokyo Medical and Dental University
Principal Investigator	田上美千佳東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (70227247)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords	精神科外来 / 精神疾患患者 / 看護支援 / 家族支援 / 看護相談
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、1．通院ならびに退院後の精神疾患患者への精神科外来支援の実態を把握して、支援の現状と課題を明らかにする。特に先駆的かつ積極的な精神科外来支援の特徴や方法、システムを把握する。2．1の結果をふまえて、地域生活を営む幅広い精神科クリニックや精神科外来通院患者とその家族への支援方法と支援ニーズとを明らかにする。3．支援対象者(患者)の特徴や、支援機関(クリニック・外来等)の特徴に応じた患者や家族への外来支援ガイドライン(以下、ガイドライン)を策定し、その評価を行う。多くの対象や医療機関での支援に活用できるものを作成する。4．上記1．2．3により、精神疾患患者および家族にとって適切な精神科外来受診の支援体制の構築に寄与し、精神疾患患者の再入院の予防・病状悪化の早期発見・対応、患者と家族の地域生活の促進を図るためのケアの方向性を検討することを目的としている。そこでガイドラインの内容と評価方法について検討し、ガイドライン案を策定した。ガイドラインは、精神看護専門外来の看護ケアではなく一般の精神科外来で精神科看護師経験年数3年以上の看護師が行うケアを想定し、①患者との関係構築および現在の生活状況と困りごと、②ライフイベントの把握と過去最高の発達段階の査定と必要なケアの検討、③地域での生活のしかたに関するケアを含む8領域96項目のケア内容を選定した。このガイドライン案を精神科看護経験平均12.5年（SD6.8）の専門職者23名の協力により3観点からの評価による検討を行い、案の精錬を図った。ケア項目の重要性は重要性が低いと1点、高いと10点とする評価とし、結果としてケア内容96項目中91項目が8.1点以上であった。したがって、策定したケア項目は概ね妥当と評価されたと考える。さらなる看護専門職者からの評価を踏まえ、ガイドラインの精神科外来での活用に向けて修正を図る計画である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 計画の変更を余儀なくされ、面接調査による先駆的な精神科外来支援の特徴の把握と類型化には課題が生じた。しかしながら、精神疾患患者への外来診療での包括的看護支援方法のあり方を検討するとともに、包括的看護支援方法としての外来支援ガイドライン（以下、ガイドライン案と称す）の策定を行い、研究協力者および精神保健看護専門職者の協力によるガイドライン案の内容の評価を行っている段階であるため、おおむね順調な進展であるとした。
Strategy for Future Research Activity	1．精神科外来及びクリニックでの包括的支援方法案洗練：精神疾患患者への外来診療での包括的看護支援方法のあり方および、包括的看護支援方法としての外来支援ガイドライン案（以下、ガイドライン案と称す）の精錬を図る。研究協力者および精神保健看護専門職者との検討会ならびにデルファイ法による意見聴取と聴取した意見の分析を重ねて、ガイドライン案の吟味を行い、洗練させる。必要に応じて、ユーザーおよび精神障がい者家族にも検討に参加していただき、分析結果およびガイドライン案の妥当性の確認を行う。 2．ガイドライン案の臨床活用性の把握と確認：①精神科外来およびクリニックの特徴をふまえたガイドライン案の検討、ガイドライン案の妥当性確認・評価のための実態把握、②既に実施したインタビューデータの分析による確認、ならびに訪問看護等の地域資源との連携による支援内容・方法をふまえた妥当性の把握を行う。 3．これら1．2．をふまえて、ガイドライン案を完成させる。